2013年12月02日

『セッションズ』お薦め映画

★★★★ 2011年製作 米 (95 min)
【監督】ベン・リューイン
【出演者】ジョン・ホークス、ヘレン・ハント、ウィリアム・H・メイシー、ムーン・ブラッドグッド、アニカ・マークス、ロビン・ウェイガード
【あらすじ】1988年。 首から下が全く動かせず、呼吸障害もある38歳のマークは、カプセル型呼吸器に横たわり1日の大半を過ごしていた。 障害者のセックスについての原稿を依頼された彼は、障害をものともせずセックスを楽しんでいる人たちがいることを知り衝撃を受ける。 自分も異性と深い関係を持ちたいと願うようになったマークは、セックス・サロゲート(代理人)の女性シェリルの“セッション”を受けることになったのだが…。 実話から生まれたヒューマンドラマ。 R-18。

原案:マーク・オブライエン サンダンス映画祭観客賞、サン・セバスチャン国際映画祭観客賞、他多数受賞。

『セッションズ』象のロケット
『セッションズ』作品を観た感想TB

画像(C)2012 Twentieth Century Fox

Sessions1.jpg 【解説と感想】セックスと愛は切っても切れない関係だが、単純に身体だけの関係で満足している人もいる。性欲を愛と勘違いすることもあれば、勘違いから真実の愛が生まれることもある。倦怠期とは別の意味で、愛し合っているのにセックスしないカップルも増えているという。セックスと愛は、どのくらい人生に必要なものなのだろうか?

実在の人物である主人公マーク・オブライエン(ジョン・ホークス)は、アメリカ在住の30代の男性。首から下が動かない上に呼吸障害もあるので、呼吸器と介護者なしでは生きられない寝たきり状態。それでも彼は女性とセックスがしたくなった。マスターベーションすら不可能な彼は、それまで生理現象としての射精しかしたことがなかったのだ。

Sessions2.jpg マークは手始めとして、セックス・サロゲート(代理人)であるシェリル(ヘレン・ハント)のセッション(授業)を受けることになった。何と最終的には彼女とセックスするのだという! 日本では認められていないが、セックス・サロゲートとは自力でのセックスが困難な障害者を手助けするボランティア的な介護者で、クライアント(依頼人)と性交渉を行う場合もあるそうだ。「料金は受け取るが売春婦ではない。」とシェリル本人がきっぱり言うように、彼女とのセックスは、あくまでもマークが将来のパートナーとちゃんと性交渉ができるように導いてゆく治療的な授業に過ぎない。だから、シェリルはセッションの様子を詳細にカルテに記録している。

Sessions3.jpg マークは介護人のアマンダ(アニカ・マークス)やセックス・サロゲートのシェリルに恋をする。彼女たちの介護やセッションは、仕事と割り切ったものだったのか? マークは二人の優しさを愛だと勘違いしてしまったのか? 仕事と奉仕、同情と理解、友情と愛の違いについて、劇場で是非、考えてみて頂きたい。私はキッチリした線引きが苦手だが…。

マークが恋や性の悩みを打ち明ける神父(ウィリアム・H・メイシー)や、介護人や友人たちは非常に協力的で応援を惜しまない。お国柄だろうか、障害者の性をタブー視しない、彼らの大らかさがとても良かった。主人公が障害者だということはだんだんどうでもよくなっていく。かなり具体的でユーモアたっぷりの初体験シーンには笑わされ、心から応援したくなった。

Sessions4.jpg 障害者も健常者も、誰だって愛し愛されたい、愛あるセックスをしたいと望んでいるのではないだろうか。セックスを軽視している方、遠ざかってしまっている方には、それが人間にとってどのくらい重要なものなのか、いかに生きる喜びを与えてくれるものなのかを教えてくれる。また、愛を軽視しセックスに溺れている方には、互いの心が通じ合う幸せを思い出させてくれる。愛する人との素晴らしいセックスを忘れてしまった大人向け(R-18)ハートフル・ストーリー。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


http://nishimovie.blog.fc2.com/blog-entry-27.html
http://kin-g.blog.eonet.jp/default/2014/09/post-cae7.html
http://20050509.at.webry.info/201408/article_1.html


 
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2013年10月29日

『いとしきエブリデイ』お薦め映画

★★★★2013年製作 英 (90 min)
【監督】マイケル・ウィンターボトム
【出演者】シャーリー・ヘンダーソン、ジョン・シム、ステファニー・カーク、ロバート・カーク、ショーン・カーク、カトリーナ・カーク、ダレン・ダイ
【あらすじ】イギリス、ノーフォークの小さな村。 朝4時、ステファニー、ロバート、ショーン、カトリーナの幼い兄妹は、母カレンに起こされる。 今日は服役中の父イアンとの面会日。 バスと電車を乗り継いでの長い道のりだが、面会時間はあっと言う間に終わってしまう。 昼はスーパー、夜はパブで働く忙しいカレンを男友達のエディは気遣い、子どもたちの面倒も見てくれるのだが…。 ヒューマンドラマ。

『いとしきエブリデイ』象のロケット
『いとしきエブリデイ』作品を観た感想TB

画像(C)7 DAYS FILMS LIMITED 2012

everyday1.jpg 【解説と感想】外国の刑務所は日本に比べると拘束がゆるく、部屋も暮らしやすく、面会もしやすいのだと話に聞く。私は刑務所に立ち入ったことがないので分からないが、映画やテレビで見る限りでも、刑務所のシーンは確かにかなり違う。

本作はイギリス映画で、父親イアン(ジョン・シム)が刑務所に服役している一家の物語だ。母親カレン(シャーリー・ヘンダーソン)は、息子2人、娘2人と4人もの幼い子供を抱え、昼はスーパー、夜はパブで働き忙しい。それでもまめに夫が収監されている遠くの刑務所へ、子どもたちを連れて面会に通っている。

everyday4.jpg 時間は限られているが、オープンな面会室が、夫婦の唯一の子育ての場だ。こんなふうに会わせなければ、子どもたちは父親のことを忘れてしまいかねない。他愛のない会話が大事なのだ。夫婦の強い結びつきと、子どもたちのために頑張ろうという気持ち、先の見えない毎日に押し潰れそうなふたりの思いが手に取るように伝わって来る。

父親がどんな罪を犯したのかは不明だが、彼は根っからの悪人ではなく、いいように犯罪に巻き込まれてしまうタイプに見える。刑務所内でも立場が弱くて、ついつい悪い誘いに乗ってしまう。妻はそんな夫の本質を見抜いており、息子たちが将来夫のようになりはしないかと心配している。今も夫を愛しているが、毎日の生活に疲れ、男友達に親切にされるとつい頼りたくなってしまう。そんな彼女を責めることはできないだろう。

4人兄妹を演じているのは、実際にも兄妹である子どもたちだ。4人は実名で出演し、彼らの家や学校も撮影に使われたのだという。演技なのか地なのか、彼らの会話はとても自然だ。次男ショーンが母親に詰問されて泣き出すシーンなどは、あんまり可愛いいので逆に吹き出してしまった。どの子も愛らしい。

everyday3.jpg 父親の帰りを待つ家族の5年間を実際に5年かけて撮影し、子どもたちの成長ぶりと夫婦の本音が、牧歌的な風景の中でまるでドキュメンタリーのように映し出されてゆく。彼らは本物の6人家族にしか見えない。この一家の父親は決して不在ではなく、時間的には短くても、ちゃんと家族と共にいる。一緒に暮らしていても、もっと結びつきの弱い家族はいくらでもいることだろう。

要は何と言っても母親だ。彼女が逃げ出せば一家は崩壊してしまう。一体どこまで頑張れるのだろう? 理解ある男性と再婚して楽になりたいのではないか? 子どもたちにとってもその方がいいのではないか? 夫は出所しても同じ間違いを繰り返すかもしれない。 その時、また許すのか? さまざまな思いが見ている方の胸を去来する。しかし、今後どんなことが起こっても、この夫婦は父親と母親としての役目は放棄しないだろうし、子どもたちは両親の愛情を信じて、真っ直ぐ育って行けるような気がする。

everyday2.jpg 離れていても家族がいることの大切さ、愛する者と一緒に過ごす時間の有り難さ、ありふれた毎日の素晴らしさを教えてくれる、抒情的な家族のドラマ。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)




 
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2013年09月29日

『42 世界を変えた男』お薦め映画

★★★★ 2013年製作 米 (128 min)
【監督】ブライアン・ヘルゲランド
【出演者】チャドウィック・ボーズマン、ハリソン・フォード、ニコール・ベハーリー、クリストファー・メローニ、アンドレ・ホランド、ルーカス・ブラック、ハミッシュ・リンクレーター
【あらすじ】1947年、アメリカ。 大リーグの野球球団ブルックリン・ドジャーズのオーナー、ブランチ・リッキーは、周囲の反対を押し切って黒人のジャッキー・ロビンソンと契約する。 背番号は「42」。 彼は当時、白人選手だけで構成されていた400人のメジャーリーガーの中でたった一人の、そして初めての黒人選手だった。 チームメイトはジャッキーを拒否する嘆願書を作り、野球ファンからは脅迫状が山のように届くのだが…。 実在のメジャーリーガーの物語。

『42 世界を変えた男』象のロケット
『42 世界を変えた男』作品を観た感想TB

画像(C)2013 LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC. All Rights Reserved

42-1.JPG 【解説と感想】テレビドラマ「半沢直樹」のキメ台詞「倍返し!」が流行語となった。サラリーマン社会は忍耐の連続だし、世の中には腹立たしいことがあふれている。自分より大きな相手に立ち向かう半沢直樹の活躍は、なかなか「やられたら、やり返す!」ことができないでいる多くの視聴者の溜飲を下げ、大ヒットとなった。私はというと「やられている」ことにすら気づかないのんき者で、せっかくの「倍返し」の機会を多々逃している。

大昔から「目には目を、歯には歯を」、そして「左の頬を打たれたら、右の頬も差し出しなさい。」という言葉がある。解釈には諸説あるが、前者は「同じだけの報いが来る」という意味で、後者は復讐を諌めるものだと言われている。やり返せばスッキリするかもしれないが、仕返しばかりしていたら社会は崩壊してしまうし、サイテーの相手と同レベルの人間になるのはもっと悔しい。

42-2.jpg さて、本作は第二次世界大戦後まもない1947年、近代メジャーリーグで初の黒人選手となった背番号「42」ジャッキー・ロビンソン(1919〜1972年)の物語だ。ブルックリン・ドジャーズのオーナー、ブランチ・リッキー(ハリソン・フォード)が、黒人のジャッキー・ロビンソン(チャドウィック・ボーズマン)と契約したのは、純粋にチーム強化のため。やがて身体能力の高い黒人選手が球界を引っ張っていく時代が来ると確信したのだ。

「どんな嫌がらせを受けても“やり返さない勇気”を持て。奴らのレベルで戦ってはならん。」と、ジャッキーにアドバイスし励まし続けたリッキー。彼には第二次大戦後のアメリカを世界的視野から見る目と、一企業のトップを超えた経営者としての器量があった。白人至上主義ではもうやっていけない時代が来ていた。球界全体のレベルアップと有色人種の人気を得ることは確実に観客増員に結びつく。黒人選手の登用は自分が博愛主義者だからではなく、球団や球界の利益のためなのだとはっきり言えば言うほど、逆に彼が人格者に見えてくる。

42-3.JPG リッキーに公民権運動をしている気は全くなかっただろうが、社会活動はこういう見えない形で行うのが理想だし、ボランティアの世界でも応急処置の後は自立への支援が常識となりつつある。リッキーならスラム街に大金を寄付することも出来たかもしれないが、彼は黒人の野球少年たちに希望と夢、白人と対等に勝負するチャンスを提供したのだ。彼の決断は有色人種の大リーグへの流入に繋がり、ジャッキーの活躍への敬意が、徐々に他の職業でも感情的差別撤廃を促したことは間違いない。ひいては黒人層の所得増加にもつながったことだろう。つまり、まずは「42」をスカウトしたリッキーが“世界を変えた男”だったのだ。

もちろん「42」ジャッキーへの風当たりは強かった。当時の黒人差別の様子と彼がどんな扱いを受けたかは、スクリーンで確認して頂きたい。しかし、ビジネス上で「やり返す!」半沢直樹と同じく、ジャッキーの「倍返し!」はあくまでもグラウンドで。「やり返さない勇気」とは、ただじっと我慢していることを指すのではない。直接的な仕返しをする必要がなくなるくらい自分が強くなって、レベルの低い相手に間接的に勝利するまで頑張り続けることなのである。最終的には全てを水に流し「手打ち(仲直り)」をするのが理想だが、そこまでに至るには両者にハイレベルな勇気が必要なのは言うまでもない。

42-4.JPG あらすじ3行でだいたい分かるほど、ストレートな内容である。しかし変化球ばかりより、たまには直球もいい。わかりやすくて胸を打つ、子どもたちにも是非見せたい、勇気あるメジャーリーガーの物語。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)




 
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2013年08月13日

『マン・オブ・スティール』お薦め映画

★★★★ 2013年製作 米 (143 min)
【監督】ザック・スナイダー
【出演者】ヘンリー・カヴィル、エイミー・アダムス、マイケル・シャノン、ラッセル・クロウ、ケビン・コスナー、ダイアン・レイン、ローレンス・フィッシュバーン
【あらすじ】惑星クリプトンで生まれた男児カル=エルは、地球でケント夫妻の息子クラークとして育てられる。 成長した青年クラークは、謎の物体がカナダの氷棚に埋まっているというニュースを聞きつけ現地へ向かうが、そこで出会った女性記者ロイス・レインに、宇宙人であることを知られてしまう。 その頃、クラークの実父ジョー=エルを殺害後、宇宙を漂っていたゾット将軍が、クラークの居場所を突き止めていた…。 SFアクション・ファンタジー新シリーズ。

『マン・オブ・スティール』象のロケット
『マン・オブ・スティール』作品を観た感想TB

画像(C)Warner Bros.All Rights Reserved

manofsteel1.jpg 【解説と感想】スーパーマンは超高速で空を飛び、体力、腕力、五感の能力もケタ外れの超人。何でもできるスーパーヒーロー。体格も良くハンサム、性格もすこぶる良いといいことずくめ。自分の持つ特殊能力を善いことにだけ使う、完璧な理想の人間(異星人だが)である。

先日、「クロニクル」という面白い作品を観た。こちらは特殊なチカラがあっても、それをどう生かしてよいか分からず、暴走してしまう少年たちの話だった。超能力があっても、誰もが世のため人のためにその能力を使う訳ではない。ただ力を持っているだけでは宝の持ち腐れ。悪用すれば社会の迷惑。人助けに活用すれば…いつも感謝されるとは限らず、逆に気味悪がられたり、恐れられたりしてしまう。だから超能力者は皆、身を潜めて生きているのだ。

惑星クリプトン星からカプセルに入れられて地球へやって来た赤ん坊カル=エルは、アメリカ人のケント夫妻(ケビン・コスナー、ダイアン・レイン)の息子クラーク(ヘンリー・カビル)として成長する。心優しいクラークは困っている人を見過ごすことが出来ず、しばしば超能力を人前で使ってしまう。その結果、正体がバレそうになるとその場所を離れることを繰り返し、32歳の今も放浪の旅を続けている。彼はずっと、自分が何者なのかを知らず、特殊な能力を持て余していたのだ。長いモラトリアム期間である。

スーパーマンは性格もスーパーに良い。しかし、彼と同じ星の生まれで同様の特殊能力者であるゾット将軍(マイケル・シャノン)は、少なくとも地球人にとっては善人ではなかった。超能力者が敵に回ると厄介だ。

米軍は、すぐに大量出動、即攻撃である。どんな相手でもまずはド派手な銃撃戦! 効き目がなければ、次から次へと大きな武器のオンパレード。彼らの眼には、クラークもゾット将軍も異星人=敵にしか見えないのが悲しい。

manofsteel2.jpg 身体はクリプトン星人であっても、心は地球人であるクラークは、それでも地球のために戦う。なぜなら地球も故郷だから。話してもダメなら、行動で示すしかない。彼は地球人の良心を信じているのだ。どんなことがあってもひねくれない、素直すぎる性格が泣かせる。

manofsteel3.jpg クラークの変身姿は、青いスーパーマン・スーツに赤いマント、胸にはSの紋章という、良く知られているコスチューム。新スーツはメッシュのメタリック調で少し異星人っぽいが、ひとたび空を飛べば、ああ、これこそがスーパーマンだと思う。マントをヒラヒラさせながら、何の迷いもない表情で真っ直ぐ飛ぶ姿に胸が熱くなる。

manofsteel4.jpg 本作のアクション・シーンのスピード感は世界最高速だという。ヒーローもスーパーなら、映像もスーパー。もちろん私は、旧作のアクションがショボいとは全く思わない。その時代最高の撮影手法で撮られた歴代スーパーマン(最近ではクリストファー・リーヴ、そしてリターンズのブランドン・ラウス)の活躍は、今見てもワクワクさせてくれる。どのスーパーマンもカッコイイのだ!

ところで、本作には“スーパーマン”という呼び名はほとんど出てこない。これはアメリカンコミック史上最高のヒーロー“スーパーマン”が誕生するまでの物語である。己の正体と使命を知らぬまま放浪の旅を続けていた青年にようやく時が来た。“マン・オブ・スティール(鋼の男)”としての自覚と希望(Sはエル家の紋章で希望を意味する)を胸に、新スーパーマンが第2の故郷・地球の人々を救うために戦う心躍るSFスーパー・スペクタクル。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)




 
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2013年07月31日

『ホワイトハウス・ダウン』お薦め映画

★★★★ 2013年製作 米 (132 min)
【監督】ローランド・エメリッヒ
【出演者】チャニング・テイタム、ジェイミー・フォックス、マギー・ギレンホール、ジェイソン・クラーク、リチャード・ジェンキンス、ジョーイ・キング、ジェームズ・ウッズ
【あらすじ】アメリカ・ワシントンD.Cの警官ジョン・ケイルは、大統領の警護官(シークレット・サービス)の面接を受けるためホワイトハウスを訪れる。 面接の後、一緒に来ていた娘エミリーと館内の見学ツアーに参加するが、突然、爆音と共に謎の武装集団による攻撃が始まってしまった! 大統領と、ジョンの娘ら多くの人質を救うため、ジョンはたった一人で戦うことを決意するが…。 サスペンス・アクション。

『ホワイトハウス・ダウン』象のロケット
『ホワイトハウス・ダウン』作品を観た感想TB

whitehousedown1.jpg 【解説と感想】6月に、北朝鮮テロリストがホワイトハウスを乗っ取るという『エンド・オブ・ホワイトハウス』が公開された。あれから2ヶ月しか経っていないと言うのに、本作「ホワイトハウス・ダウン」では、またまたホワイトハウスが謎の武装集団に占拠されてしまった! 

米大統領が居住し執務を行うホワイトハウスを爆撃し、銃撃戦で制圧すること、厳重な警備の裏をかいて大統領を人質にし、米軍をコケにすることは、目立ちたがり精神旺盛なテロリストたちが、一度はやってみたい夢なのだろう。

両作品とも、現役のシークレットサービスではない男がたった一人で、大統領を守るために命がけで戦う。ストーリーもタイトルも似ていて混同しそうだが、どちらも甲乙つけ難いほど面白かった。

主人公ジョン・ケイル(チャニング・テイタム)は、ホワイトハウスの館内見学ツアー中に、爆弾テロに遭遇してしまう。

whitehousedown2.jpg 黒人である第46代大統領ジェームズ・ソイヤー(ジェイミー・フォックス)は、米軍の中東からの全部隊撤退と経済支援を推進し、中東と和平条約を結ぼうとしている平和主義者(明らかにモデルは第44代大統領バラク・オバマだ。)。テロリストたちの黒幕は、アメリカと仲良くなんかしたくない中東か、アジアか、または平和路線では儲からないアメリカの軍事企業関係者かと、様々な憶測が飛び交う。

アメリカで銃規制が進まないことも、軍事産業が戦争の後押しをしていると噂されていることも周知の事実。武器を持たない者は、簡単に人質になったり、殺されてしまうのだということを見せつけられる。軍の中枢もハッキングされてお手上げ状態。素手の一般ツアー客は逃げるか、降参するしかない。さて、軍隊の経験もない大統領はどうするのか…? 

whitehousedown3.jpg その日、ジョンがホワイトハウスを訪れた目的は見学ではなく、大統領警護官(シークレットサービス)の面接を受けるためだった。志望の第一動機は、別れた妻と暮らしている11歳の娘エミリー(ジョーイ・キング)が熱烈な大統領ファンだから。そして、エミリーも一緒に見学ツアーに参加していた。大統領ファンの小学生なんて、クセ者に決まっている。彼女は父親以上の肝っ玉の持ち主で大活躍。将来は憧れのホワイトハウスの住人になっているかもしれない。

たった今シークレットサービスの面接に落ちたばかりなのに、大統領を守る唯一の人間になってしまったジョンの原動力は、採用への野心ではなく最愛の娘エミリーを守りたいと言う親心。そうでなくてはここまで命を張ることはできない。父親を動かす最大の動機づけである。

実際にホワイトハウスの見学ツアーは大人気だったが、9.11テロ以降は入館審査が厳しくなり、一般市民は簡単には見学できなくなってしまった。その代わり、映画の中でツアーガイドの男性ドニー(ニコラス・ライト)が分かりやすい解説をしてくれるから、ちょっとしたホワイトハウス通になれる。

若き大統領の掲げる平和・外交政策には、アメリカの建前的理想が組み込まれているが、それがどんなに実行困難で、危険なことかも教えてくれる。戦争の代わりに外交を、銃の代わりに護身術を、なんて、軍事大国は簡単にチェンジできないのだ。

whitehousedown4.jpg ホワイトハウスが崩れ落ちていく様は壮観。ツアー気分を楽しみながら、にわかシークレットサービスの孤独な戦いを応援しよう。大迫力のホワイトハウス乗っ取りパニック。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


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