2014年06月03日

『マダム・イン・ニューヨーク』お薦め映画

★★★★ 2012年製作 インド (134 min)
【監督】ガウリ・シンデー
【出演者】シュリデヴィ
アディル・フセイン(ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日)
メーディ・ネブー(スウィッチ、ワールド・オブ・ライズ、ミュンヘン)
プリヤ・アーナンド、アミターブ・バッチャン、ナヴィカー・コーティヤー、シヴァンシュ・コーティヤー
【あらすじ】インド。 二人の子供と多忙なビジネスマンの夫サティシュ、姑と暮らす主婦シャシの悩みは、家族の中で自分だけ英語ができないこと。 娘の学校の三者面談では、先生とまともに会話することもできない。 ある日、アメリカに住む姉マヌから、姪の結婚式の手伝いを頼まれ、しばらくニューヨークに滞在することになったのだが…。 ヒューマンドラマ。
フィルムフェア賞最優秀新人監督賞、IIFAインド国際映画批評家協会賞最優秀新人監督賞、Stardust Awards 最優秀監督賞・最優秀新人監督賞

『マダム・イン・ニューヨーク』象のロケット
『マダム・イン・ニューヨーク』作品を観た感想TB

画像(C)Eros International Ltd. All rights reserved.

vinglish1.jpg 【解説と感想】インドは、長らくイギリスの植民地であったことから、公用語は英語だった。インドは面積が広く人口が多く、多数の言語が存在するため、公的公用語は英語とヒンドゥー語だが、実際には州によってさまざまな言語が使われており、同国人間で意思疎通ができない場合がある。とはいえ知識層なら英語は「出来て当たり前」らしい。

vinglish2.jpg 本作の主人公シャシ(シュリデヴィ)は専業主婦。家族の中で彼女だけが英語ができない。夫に「一目ぼれ」されて早くに結婚した彼女は、進学も就職もしなかったのかもしれない。PTAに行くと、他のママからは当然のように英語で話しかけられる。教師の方は逆にヒンドゥー語が苦手だから、シャシとは半分も話が通じない。そんな母を、幼い息子はからかい、思春期の娘は恥じている。

シュリデヴィ(50歳)はボリウッド映画の元トップ女優で、本作が15年ぶりの女優復帰作だという。カレーの香辛料のように歌、踊り、恋愛、アクション等いろんな内容が盛り込まれ、絶世の美女が登場するいわゆるマサラムービーは日本でも人気だが、私は中年女性が主人公のインド映画を初めて見た。若い女性にはないミセスのお色気と優雅さがあり、匂うような美しさ。本編で年下のフランス人男性ローラン(メーディ・ネブー)に「一目ぼれ」されるのにも納得だ。

本作は、まだまだ社会的地位の低い女性の葛藤をソフトなテーマにしている。男女不平等は、欧米ならもう過去のことと思われるかもしれないが、案外そうでもないようだ。日本だって実はまだまだだろう。ましてやインドにはカースト制度が根強く残っている。女性の社会進出を阻むハードルは多いのだ。シャシは「(女として愛されるのは嬉しいが、まず人として)ちゃんと尊重して欲しい。」と強く望む。ちなみに本作の監督も女性。歌や踊りは少ないが、万人受けする楽しいストーリーの中に、社会や夫婦間の意識改革を促すメッセージが込められている。

vinglish3.jpg ハンサムなシャシの夫サティシュ(アディル・フセイン)は恐らくエリート・ビジネスマン。シャシを愛しているが、仕事の打ち合わせ中に「アナター、聞いて聞いて! 今日ねー、私のお菓子が大好評だったのよぉー。」なんて電話がかかってくると、鬱陶しく感じてしまう(当然だが)。シャシはお勤めをしたことがないから、わからないのかも。だが彼は妻が本格的に働くことには反対だ。菓子作りは小銭稼ぎ位にしておけよ、働く必要なんかないし、料理の腕は家族のために発揮すればいい、と言わんばかり。その意識は、妻には家事育児を優先し仕事はパート程度にして欲しいと望む、一昔前の(または今も続いている)日本人男性の考え方と全く同じであることに笑ってしまった。

vinglish4.jpg もう一つのソフトなテーマは、インド人としての誇り。空港や飛行機内の会話にはクスッと笑わせられる。英語ができないと不便なので勉強はするけれど、アメリカにヘイコラなんかしないよ! という気概が感じられる。服装も、ニューヨークへ来たからって気軽にナマ足を見せたりせず、民族衣装サリーで押し通す。なぜなら、それが一番彼女に似合っていて美しいから。インド人にとって、インドが世界で一番なのは当然だ。

英語の国アメリカにも英語がまともに話せない人は多いようだ。今も世界中から移民がドッサリやって来ているのだから当たり前か。シャシが通う英語学校の生徒たちの仲間意識は、“人種のるつぼ”アメリカへやって来た新参者同士の連帯感とも言える。こうして「ニューヨーカー」になっていくのだろう。

インドのチャーミングな中年女性が、ニューヨークで新しい自分を見つけるハッピーな物語。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)



 
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2014年04月30日

『ぼくたちの家族』お薦め映画

★★★★★ 2013年製作 日 (117 min)
【監督】石井裕也(舟を編む、あぜ道のダンディ、ハラがコレなんで)
【出演者】妻夫木聡(渇き。、スマグラー おまえの未来を運べ、ウォーターボーイズ、さよなら、クロ)
原田美枝子(愛を乞うひと、折り梅、OUT、ミスター・ミセス ミス・ロンリー)
池松壮亮(大人ドロップ、ダイブ!!、半分の月がのぼる空、鉄人28号)
長塚京三、黒川芽以、ユースケ・サンタマリア、鶴見辰吾
【あらすじ】最近物忘れがひどかった母・玲子が、末期の「脳腫瘍」で余命1週間と宣告された。 小さな会社を経営する父・克明は取り乱し、大学留年中の次男・俊平は頼りにならず、大手電機メーカーに勤務する長男・浩介は、思い詰めるばかり。 もはや治療する段階ではないと病院からは暗に退院を促され、更に、多額の借金が発覚する。 浩介は妻・深雪から、身重だから見舞いには行けないし、お金も生まれてくる子どものために使いたいと言われてしまう…。 ヒューマンドラマ。
原作:早見和真

『ぼくたちの家族』象のロケット
『ぼくたちの家族』作品を観た感想TB

画像(C)2013「ぼくたちの家族」製作委員会

kazoku1.jpg 【解説と感想】核家族化が進み、働き方や連休の過ごし方も多様化して、成人した子どもたちが実家へ足を運ぶ機会は減って来ている。盆暮に集まるのはいい方で、近くに住んでいるのに結婚式や葬式、法事ぐらいしか会わないと言う人もいる。そんなドライな子どもたちが実家へ駆けつけるのは、祝い事や心配事など、良い悪いにかかわらず、何かコトが起こった時だ。“コト”は更なる“コト”を引き寄せる場合がある。なぜなら、普段あまりコミュニケーションを取っていないので、知らなかったコトが一気に浮上してくるからだ。結果、新たな付き合いが始まったり、絶交になったりもする。

kazoku2.jpg 本作の主人公・若菜浩介(妻夫木聡)には、第1子を妊娠中の妻・深雪(黒川芽以)がいる。都内で一人暮らしをしている弟・俊平(池松壮亮)は大学生で、両親は、東京郊外の一軒家に住んでいる。父・克明(長塚京三)は小さな会社の経営者、母・玲子(原田美枝子)は専業主婦。平凡で幸せな家族だ。

ところが突然、元気だった母親が余命1週間の宣告を受けてしまう。ショックのあまり、父親は見苦しい程うろたえ、逆に弟は妙に明るく振る舞っている。二人が頼りにならないことを察知した浩介は、自分がしっかりしなくては何も進まないのだということを自覚する。父と息子の立場が逆転する時がやって来たのだ。

kazoku3.jpg 更に多額の借金問題が明るみに出て、そのせいで、浩介と妻の仲までギクシャクしてしまう。母の病気も借金も、そうと知った時にはもう手の施しようがない状態だった。何故もっと早く病気に気づかなかったのか、何故もっと早く借金のことを相談してくれなかったのかと悔やまれるが、普通はそんなものだろう。母親が病気にならなければ、借金に気づくこともなかったのだ。息子たちは実家に、そうそう顔を出してはいなかったはずだから。

kazoku4.jpg 病気が発覚する前のイメージは、父親は優しく包容力のある一家の主、母親は少し気が利かないが可愛い女、俊介はチャッカリしたイマドキの学生、浩介は誰に対しても言いたいことが言えないネクラ、深雪は勝気で夫の実家との付き合いが苦手なイマドキの嫁。彼らがそう見える理由も、だんだんわかって来る。そして家族の危機を前に、彼らは変わったのか、それとも本性を現したのか、それぞれ別の顔を見せ始める。

母親の病気は完治しないし、借金もゼロにはならないのは明らかだが、彼らはちょっとした「悪あがき」をする。「やれるだけのことはやった方が後悔しない。」と賛成する人も、「ここまで来たら諦めも必要。時間と体力と医療費の無駄だ。」と冷たい目で見る人もいるだろう。ただ、彼らの「悪あがき」は見ていて実に気持ちが良かった。

「目標に向かって頑張る過程こそが大事」だとか「一大事で家族の絆が深まった」とかいう、ありがちな満足感はゼロではないが、さほど重要視されていない。家族の病気も借金も良くあるホームドラマのテーマなのに、目線はサッパリしていて且つ、じんわりと温かい。地味なようで斬新な展開に、私は衝撃を受けた。この家族の行動は、いつか参考になる日が来るかもしれない。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)



 
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2014年03月01日

『アナと雪の女王』お薦め映画

★★★★★ 2013年製作 米 (108 min)
【監督】クリス・バック、ジェニファー・リー
【出演者】(声)クリステン・ベル、イディナ・メンゼル、ジョナサン・グロフ、ジョシュ・ギャッド、他
(日本語吹替)神田沙也加、松たか子、原慎一郎、ピエール瀧、他
【あらすじ】アレンデール王国の王女、姉エルサと妹アナは、幼い頃は大の仲良しだった。 しかし、雪や氷を作り出し、触れるものを凍らせる秘密の力があるエルサは、人を傷つけることを恐れて部屋に閉じこもってしまう。 …数年後、国王と王妃が亡くなり、エルサが王位を継ぐ日がやって来た。 アナは戴冠式にやって来たハンス王子と恋に落ちるのだが…。 ファンタジーアニメ。
歌:ロバート・ロペス、クリステン・アンダーソン=ロペス

『アナと雪の女王』象のロケット
『アナと雪の女王』作品を観た感想TB

画像(C)2014 Disney.All rights reserved.

frozen1.jpg 【解説と感想】アニメ作品、特にディズニー映画ではよく、子どもの頃に読んだ童話が趣向を変えて、それはそれで別物の楽しい作品として生まれ変わっている。オリジナルのストーリーと比べてみたいところだが、何せ遥か昔のことなので、アンデルセン作「雪の女王」の詳細など、覚えちゃいないのである。しかし、それくらいでいいと思う。事前に原作を読んだりせず、気になるなら映画鑑賞後に比べてみることをお勧めする。…確認したところ、全然違うストーリーだった!

本作はアカデミー賞の長編アニメーション賞と主題歌賞(「Let It Go」)にノミネートされている。既にオリジナルの素晴らしい歌声を耳にしていたので、是非とも字幕版で観たいところだったが、ファミリー向け作品なのでまずは吹替え版の試写を観た。「字幕版も観たいなー」と思いながら席に着いたが、さすがディズニー、下手な歌など聴かせるはずがなかったのだ!

主人公のアナ役の神田沙也加も、姉で雪の女王のエルサ役の松たか子も、度々ミュージカルに出演しているだけあって、セリフも聞き取りやすく、のびやかな歌声に魅了された。表情豊かなアニメキャラクターの顔が、二人の女優の顔と重なって見えてきそうなのを振り払うのが大変だったが、それは仕方のないこと。吹替版を観て良かったなと思った。

アナは元気が良く、下町育ちのようなチャキチャキのおてんば娘。行動的でハッキリ物を言う、いわゆる次女タイプ。対してエルサは、両親がハラハラしながら育てた典型的な長女タイプで、冷静で思慮深いが、特別な力を持つがゆえに引きこもり状態。正反対の性格だがいい姉妹で、互いのことを思いやっている。

最大の見せ場は、エルサが自分の力を解き放つ場面だ。王国が大変な事態になってしまうのはわかっていても、華麗な雪と氷の世界にウットリとしてしまう。一方、雪の怪物との戦いもすごい。私が気に入ったのは、とぼけた雪だるま・オラフ(声:ピエール瀧)のこと。お天気の時に彼がどうなるのか、心配してしまった。

frozen2.jpg アナを愛しているからこそ寄せつけたくないエルサの苦悩、アナとハンス王子(声:津田英佑)の恋の行方、アナの冒険を助ける山男クリストフ(声:原慎一郎)の行動など、ひとひねりある心情の描き方が大人をも引き込む。子どもたちの胸にも、しっかりと刻まれることだろう。

2月は関東も大雪に見舞われて、まだ被害が続いているところもあるが、道路では小中学生が、ウキウキワクワク大喜びで遊んでいた。雪には、空気中のホコリだけでなく、人の心をも浄化する不思議な力があるようだ。本作はそれに加えて、自分の殻を破り困難に立ち向かう勇気と希望を与えてくれる。

雪と氷の世界が幻想的に描かれる、ドラマティックなミュージカルアニメ。絵も楽曲もストーリーも素晴らしい、春休みのお薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)



 
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2014年01月23日

『土竜の唄 潜入捜査官 REIJI』お薦め映画

★★★★★ 2013年製作 日 (130 min)
【監督】三池崇史 (妖怪大戦争、着信アリ、荒ぶる魂たち)
【出演者】
生田斗真 (脳男、僕等がいた、シーサイドモーテル)
堤真一 (地下鉄に乗って、フライ,ダディ,フライ、ALWAYS 三丁目の夕日、クライマーズ・ハイ)
山田孝之 (電車男、凶悪、手紙、イキガミ)
仲里依紗、岡村隆史、上地雄輔、吹越満
【あらすじ】交番勤務の巡査・菊川玲二は、正義感は人一倍強いが無鉄砲で始末書続き。 ある日、署長より突然クビを言い渡されるが、密かに潜入捜査官(通称モグラ)に任命される。 その任務は、武闘派暴力団組織・数寄矢会に潜入して合成麻薬MDMAの密売ルートを暴き、会長・轟周宝を逮捕すること。 闇カジノに潜り込んだ玲二は、数寄矢会傘下・阿湖義組の若頭クレイジーパピヨンこと日浦匡也に気に入られ、兄弟の契りを交わすが…。 アクション・コメディ。

原作:高橋のぼる『土竜の唄』(コミック) 脚本:宮藤官九郎 主題歌:関ジャニ∞『キング オブ 男!』

『土竜の唄 潜入捜査官 REIJI』象のロケット
『土竜の唄 潜入捜査官 REIJI』作品を観た感想TB

画像(C)2014 フジテレビジョン 小学館 ジェイ・ストーム 東宝 OLM (c)高橋のぼる・小学館

mogura1.JPG 【解説と感想】先日、哀愁漂う韓国の潜入捜査官の映画『新しき世界』の感想を書いたばかりだが、今度は日本の潜入捜査官のお話。こちらは哀愁とは無縁のエンターテインメント作品だ。「ありえねーだろ!」の連続だが、深く考えてはいけない。高橋のぼるのコミックが原作で、本当に「コミックそのまんま」みたいな世界なのだ。冒頭から大笑いさせられて、「これはかなり面白いかも!」という期待が高まる。

mogura2.jpg 正義感が強すぎて失敗続きの若い巡査・菊川玲二(生田斗真)は署長(吹越満)からクビを言い渡されると同時に潜入捜査官(通称モグラ)に任命され、暴力団・数寄矢会に潜り込まされる。潜入捜査官養成係の赤桐一美(遠藤憲一)や麻薬取締官(皆川猿時)も、「フォローはするけど、失敗して死んでも自己責任だからねー。」みたいな無責任で軽いノリ。最前線の兵隊はツライよ、なのだ。

警官の制服姿の玲二は、愛される(実は地域住民から迷惑がられている)交番のお巡りさんに見えなくもないが、厳格さのカケラもなく頼りなさそう。ところが、金髪に豹柄・金ラメのヤクザ系ファッションだと男振りが数ランクアップする。全身総金ラメスーツに負けないオーラを放つ男はそうそういない。ひょっとしたらヤクザが天職だったのかも。とにかく度胸だけはありそうだ。

数寄矢会で玲二の兄貴分となるクレイジーパピヨンこと日浦匡也(堤真一)は、ある時は笑わせ、ある時は泣かせ、ある時は「おおぉ〜!」と驚かせてくれる濃いキャラクター。パピヨン(蝶)柄の白いスーツを見ただけで、これは愛すべき人物だと思ってしまう。全身にパピヨンが飛び交っていても照れずにいられる男はそうそういない。脳天気だが、義を通す情に熱い男なのだ。

mogura3.jpg それに比べて、数寄矢会で玲二と相棒契約を結ぶ月原旬(山田孝之)は金髪金眉だが面白味のない黒いスーツで、不気味なこだわりを感じさせる。細かいことにうるさそうだ。数寄矢会と敵対する蜂乃巣会の猫沢(岡村隆史)は妖怪のようで、その弟分の黒河(上地雄輔)は全身マダラでチーターみたい。誰もがコミックキャラ成り切りへの気合い十分である。

mogura5.jpg どうでもいいことだが…しかし玲二にとっては一大事なのが、「童貞」であること。グラマラスな婦人警官の彼女・若木純菜(仲里依紗)とヤらずに潜入に出てしまったのが心残り。「彼女とセックスするまでは死ねない!」それが彼の原動力である。恋と正義のミッションを果たすべく、ハイスピードで突き進む様子は、見ていて気持ちがいい。

アクシデントの連続、ぶっ飛びアクションで飽きさせない。もう何が起ころうと気合いで受け止めるぜ「バッチ来〜い!」と、見ているこちらもすっかりハイテンションになってしまう。警察としてもヤクザとしても、どう見たってイカレた奴らが自らの職務を全うしてゆく爆笑バイオレンス・アクション。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)



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2014年01月14日

『東京難民』お薦め映画

★★★★ 2013年製作 日 (130 min)
【監督】佐々部清(陽はまた昇る、カーテンコール、チルソクの夏、半落ち)
【出演者】
中村蒼 (パラノーマル・アクティビティ第2章 TOKYO NIGHT、行け!男子高校演劇部、ひゃくはち、潔く柔く)
大塚千弘 (ルームメイト)
青柳翔 (渾身 KON−SHIN、ふたたび SWING ME AGAIN、サンゴレンジャー、今日、恋をはじめます)
金子ノブアキ、山本美月、中尾明慶、井上順
【あらすじ】大学生の時枝修は、何の通知もなしに授業の未払いを理由に、大学を除籍されてしまう。 借金を抱えた父親が失踪してしまったのだ。 家賃が払えずアパートを追い出された修は、ネットカフェに泊まりながら日払いのバイトで食いつなぐ。 ある日、若い女性に誘われて入ったホストクラブで高額の料金を突きつけられた修は、頼み込んでその店で働かせてもらうことにしたのだが…。 社会派ドラマ。

『東京難民』象のロケット
『東京難民』作品を観た感想TB

画像(C)2014『東京難民』製作委員会

nanmin1.jpg 【解説と感想】主人公・時枝修(中村蒼)はチャラチャラした私立大学生である。学生向けのアパートで一人暮らし。単位ギリギリの出席率で、授業をサボって遊んでばかり。合コン三昧。ため息は出るが、まあ一般的な大学生と言えなくもない。彼はある日突然、授業料滞納を理由に大学を除籍になり、家賃滞納でアパートも追い出されてしまう。借金を抱えた父親が前触れもなく失踪してしまったのだ。

大学生が突然ホームレスに! 奨学金や復学の救済措置は? ホームレス自立支援施設や緊急避難施設への入居は? と考えてしまったが、今はこちらから頼まなければ、何もしてもらえない時代である。餓死者が出た後よく聞くのが「相談してくれれば良かったのに。」というご近所さんや役所の言葉である。苦労知らずの修は、各方面に相談することなど思いつきもしない。そして、元気な若者には援助の手が差し伸べられないだけでなく、危険な誘惑が多いのである。

nanmin2.jpg アパートを借りるようなまとまった金はなく、住所がないと正規雇用もしてもらえない。まず思いつくのはティッシュ配りのバイトとネットカフェ。ネットカフェ難民 → ファーストフード難民 → ダンボール生活と、ホームレスの間にさえ格差がある。住み込みの日雇い仕事も、体力勝負の3K労働から新薬治験、水商売まで様々で、それぞれ落とし穴がある。修はあっという間に落ちてゆく。登場するどの若者も驚くほど脇が甘いが、渋谷や新宿で声をかけられホイホイついて行けば、誰だって彼らのようになりかねない。まるでどん底への行進だが、修の終始ノホホンとした愛嬌ある表情が救いとなっている。

nanmin3.jpg 病気、倒産、解雇、災害、詐欺、浪費、誘惑…、人生何が起こるかわからない。一流企業に勤めていようと、貯金や不動産があろうと、家族や友人に囲まれていようと、誰だってホームレスになる可能性はある。修や彼のホスト時代の客・茜(大塚千弘)、ホストの同僚・順矢(青柳翔)、その恋人・瑠衣(山本美月)の転落人生なんてまだまだ甘いと言う人もいるだろう。ホストクラブ店長(金子ノブアキ)の仕打ちだって、こんなものじゃ済まないはずだと。

実際、世の中にはもっと悲惨な生活を送っていて、そこから抜け出せない人も大勢いる。アベノミクスで浮かれる人がいる一方で、失踪、餓死、孤独死する人々がいて、自殺者も増加するばかり。それが日本の現実だ。

nanmin4.jpg 若い学生の方や、既に世間の厳しさを知っている大人の方も、修や修の父親のような事態に陥った時にどう対処すべきかを自分なりに、そして出来ればご家族と共に語り合ってみてはいかがだろうか。よくよく考えればホラーより怖い、いつか私やあなたの身に降りかかるかもしれない現代日本の難民生活物語。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)




 
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