2014年08月01日

『ホットロード』お薦め映画

★★★★ 2014年製作 日 (119 min)
【監督】三木孝浩(僕等がいた、陽だまりの彼女、ソラニン)
【出演者】
能年玲奈(あまちゃん、カラスの親指、グッモーエビアン!)
登坂広臣
木村佳乃(ISOLA 多重人格少女、船を降りたら彼女の島、おろち OROCHI、蝉しぐれ
小澤征悦、鈴木亮平、利重剛、鷲尾真知子
【あらすじ】亡き父親の写真が1枚もない家で母親と暮らす14歳の少女・宮市和希は、自分が望まれて生まれてきた子どもではないことに心を痛めていた。 ある日、親友えりに誘われるまま出かけた夜の湘南で出会ったのは、ガソリンスタンドで働いている少年・春山洋志。 惹かれ合う二人だったが、Nights(ナイツ)という不良チームに属する春山は、敵対するチーム漠統(ばくとう)との抗争に巻き込まれていく…。 青春ドラマ。
原作:紡木たく(コミック) 主題歌:尾崎豊『OH MY LITTLE GIRL』

『ホットロード』象のロケット
『ホットロード』作品を観た感想TB

画像(C)2014「ホットロード」製作委員会 (c)紡木たく/集英社

hotroad1.jpg 【解説と感想】「あの“あまちゃん”の 能年玲奈が、ヤンキー娘に!」と話題になった本作。全国の朝ドラファンは心配しているかもしれない。地元のアイドル海女のあまちゃんは、どんな札付きの不良になってしまったのか? そんなに朝ドラは見ていなかったが、あまちゃんのイメージは捨てて観なくては、と心して試写に臨んだ。

hotroad2.jpg 最初のアップでは20歳相当の顔に見えた。だが、ヤンキー娘の役だから、高校生だろうか。うん、高校生に見える。なんてったって、あまちゃんだから。ところが、本人の口から“14歳”という言葉が出てきたのには驚いた。「ホットロード」の主人公・宮市和希(能年玲奈)は中学生だったのである! あらら大丈夫かと思ったが、そのうち、ちゃんと中学生に見えてきたから、さすが、であった。

hotroad4.jpg 初めはヤンキーではなく、ちょっとひねくれた普通の中学生。恋人がいるママ(木村佳乃)への当てつけに万引きをやったりする、甘ったれ小娘だ。私には娘よりママの方がビョーキに見えた。高校時代の恋人・鈴木(小澤征悦)ではなく、詳細は不明だが若くして別の男と嫌々ながら結婚。和希が幼い頃に夫は死亡するが、家の中には(嫌いな)夫の写真が一枚もない。そして別の女性と結婚した鈴木との関係が、ずっと続いているのである。母親というより、娘そっちのけで恋する乙女なのだ。家で「鈴木クン」とラブラブの電話をしてたりすれば、そりゃー、グレたくもなるだろーよ。

hotroad3.jpg そんな乙女ママの娘・和希もどこかお嬢さんっぽい。中学は荒れてはいないし、友達も似たような普通の少女ばかり。だが、ひとりぼっち感の強い彼女は、“不良”という噂がある校内では浮いた転校生えり(竹富聖花)に親近感を抱く。えりの影響で湘南の暴走族グループとの付き合いが始まり、暴走族Nights(ナイツ)の次期リーダーと目される春山洋志(登坂広臣)のカノジョになってしまう。

あっと言う間に、不良少女への道をまっしぐら! 不良というと、茶髪、金髪、飲酒、喫煙、シンナー(アンパン)、危険ドラッグ(脱法ドラッグ)、覚醒剤、麻薬、不登校、家出、留年、中退、援助交際、セックス、妊娠、堕胎、ヤンママ、ケンカ、暴力、無免許運転、交通事故、補導、少年鑑別所、少年院、少年刑務所…、と、どこまでもいろいろな心配をしてしまう。和希がどこまでの不良になるのか、ここで述べるのは簡単だが、やめておく。

気になったので念のため原作コミックも読んでみた。和希の不良度数やエピソードもそのまんまで、概ね原作に忠実な映画だと思う。全体的に出演者の年齢は高いけれど、演技に満足できたので許容範囲だ。反発しつつもママが恋しい、まだ子どもと少女の中間にいるような中学生・和希と、チームのリーダーが代々受け継いできたバイク400four(ヨンフォア)に憧れる、少年と青年の狭間にいる暴走族・春山が惹かれ合う様子、その他の登場人物たちの恋愛模様にも納得できた。

終盤、不覚にも私は泣いてしまった。若すぎる二人の愛に打算はなく、一途そのもの。親はいても孤独を抱えていた者たちが、仲間が出来た喜びや、人を愛することを知り、命の大切さを教えられる。それまで見えなかったものが見えてきて、人は大人になって行くのだろう。まだ幼さの残る少年少女の純愛ラブストーリー。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)

 
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2014年06月30日

『ダイバージェント』お薦め映画

★★★★ 2014年製作 米 (139 min)
【監督】ニール・バーガー(幻影師アイゼンハイム)
【出演者】シャイリーン・ウッドリー(ファミリー・ツリー)
テオ・ジェームズ(アンダーワールド 覚醒)
アシュレイ・ジャッド(ツイステッド、ダブル・ジョパディー、あなたのために、五線譜のラブレター)
マギー・Q、ケイト・ウィンスレット、ジェイ・コートニー、ゾーイ・イザベラ・クラヴィッツ
【あらすじ】近未来。 世界の安定を保つため、全人類は≪選択の儀式≫という適正テストで振り分けられ、5つの共同体のいずれかに生涯所属することを義務付けられていた。 それは【無欲】、【平和】、【高潔】、【勇敢】、【博学】の5つ。 しかし、【無欲】の家庭で育った少女ベアトリスは、そのいずれにも適合しない“異端者(ダイバージェント)”だった。 彼女は検査結果を隠して【勇敢】に加入するのだが…。 SFアクション。

『ダイバージェント』象のロケット
『ダイバージェント』作品を観た感想TB

画像(C)2014 Summit Entertainmet, LLC. All rights reserved.

DIVERGENT1.jpg 【解説と感想】本作の舞台は、最終戦争から100年後の近未来。いつどんな戦争が起こったのかは不明だが、とにかくもう戦争を繰り返したくないと思った人類は、新たな社会体制を作り上げた。思春期に受ける性格診断テストで、人類を【無欲】【平和】【高潔】【勇敢】【博学】という5つの共同体に振り分ける。彼らはそこで結婚し、一生をその共同体で過ごす。生まれた子どもたちは、時期が来たら適性テストを受けて振り分けられる…の繰り返し。

共同体は性格と適正で分けられているから、共同体内の者たちは気が合うし、仕事も自分に合っているはずの職業に就くことができる。だから社会に対して大きな不満は抱かない。何となく、理想的だが現実にはあり得ない社会主義国のようだ。

主人公のベアトリス(シャイリーン・ウッドリー)は、政権を担当している【無欲】の共同体で育ったが、実は5つの分類からはみ出してしまう【異端者(ダイバージェント)】だった。ダイバージェントは未知の特殊能力を持つ危険分子。どこの共同体にも入れず、ホームレスのような暮らしを余儀なくされ、しかも密かに殺されてしまうという。

DIVERGENT2.jpg ベアトリスは女性検査官(マギー・Q)の計らいで検査結果を隠し、生まれた共同体を捨て、【勇敢】の共同体で生きることを決める。修道女のような【無欲】の生活にウンザリしていた彼女は、【勇気】の活動的な生活に憧れを抱いていた。まるで、親元で就職しろと言う田舎の両親を振り切り、憧れの都会へ出て行く女の子のようだ。

彼女は環境や意識の違いに驚きながらも、クリスティーナ(ゾーイ・クラヴィッツ)ら新しい仲間と友情を育み、教官エリック(ジェイ・コートニー)、フォー(テオ・ジェームズ)のスパルタ研修に耐え、初めての恋をするなど、青春を謳歌するのである。母親(アシュレイ・ジャッド)はそんな娘を心配し、時には会いにやってくる。無我夢中で頑張っているうちは分からなかったが、やがて彼女は、自分の所属先や、社会そのものの矛盾に気づき始める。兄ケイレブ(アンセル・エルゴート)が所属する【博学】の幹部ジェニーン(ケイト・ウィンスレット)は、いかにも胡散臭そうなインテリである。

DIVERGENT3.jpg 軍事・警察機能を持つ【勇敢】の研修は、厳しいを通り越してイジメに近い壮絶な内容だ。毎日の成績順位が貼り出され、脱落者にはダイバージェントのような無所属のホームレス生活が待っているから、足の引っ張り合いも日常茶飯事。いやー、まるで現代のブラック企業のようではないか。早々に脱落者候補になってしまったベアトリスが、いったいどんな能力を秘めているのかは謎だ。

DIVERGENT4.JPG 最初は近未来の管理社会下でのスポ根青春ドラマといった感じだが、巨大な陰謀が次第に若者たちの夢に影を落としてゆく。過去の歴史を十分すぎるほど学び、科学が恐るべき進歩を遂げても、人類の争いの種は尽きないのである。若者たちの頑張りが人類の未来を切り開いてゆく、テンポの良い爽快なSFアクション。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)



 
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2014年06月03日

『マダム・イン・ニューヨーク』お薦め映画

★★★★ 2012年製作 インド (134 min)
【監督】ガウリ・シンデー
【出演者】シュリデヴィ
アディル・フセイン(ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日)
メーディ・ネブー(スウィッチ、ワールド・オブ・ライズ、ミュンヘン)
プリヤ・アーナンド、アミターブ・バッチャン、ナヴィカー・コーティヤー、シヴァンシュ・コーティヤー
【あらすじ】インド。 二人の子供と多忙なビジネスマンの夫サティシュ、姑と暮らす主婦シャシの悩みは、家族の中で自分だけ英語ができないこと。 娘の学校の三者面談では、先生とまともに会話することもできない。 ある日、アメリカに住む姉マヌから、姪の結婚式の手伝いを頼まれ、しばらくニューヨークに滞在することになったのだが…。 ヒューマンドラマ。
フィルムフェア賞最優秀新人監督賞、IIFAインド国際映画批評家協会賞最優秀新人監督賞、Stardust Awards 最優秀監督賞・最優秀新人監督賞

『マダム・イン・ニューヨーク』象のロケット
『マダム・イン・ニューヨーク』作品を観た感想TB

画像(C)Eros International Ltd. All rights reserved.

vinglish1.jpg 【解説と感想】インドは、長らくイギリスの植民地であったことから、公用語は英語だった。インドは面積が広く人口が多く、多数の言語が存在するため、公的公用語は英語とヒンドゥー語だが、実際には州によってさまざまな言語が使われており、同国人間で意思疎通ができない場合がある。とはいえ知識層なら英語は「出来て当たり前」らしい。

vinglish2.jpg 本作の主人公シャシ(シュリデヴィ)は専業主婦。家族の中で彼女だけが英語ができない。夫に「一目ぼれ」されて早くに結婚した彼女は、進学も就職もしなかったのかもしれない。PTAに行くと、他のママからは当然のように英語で話しかけられる。教師の方は逆にヒンドゥー語が苦手だから、シャシとは半分も話が通じない。そんな母を、幼い息子はからかい、思春期の娘は恥じている。

シュリデヴィ(50歳)はボリウッド映画の元トップ女優で、本作が15年ぶりの女優復帰作だという。カレーの香辛料のように歌、踊り、恋愛、アクション等いろんな内容が盛り込まれ、絶世の美女が登場するいわゆるマサラムービーは日本でも人気だが、私は中年女性が主人公のインド映画を初めて見た。若い女性にはないミセスのお色気と優雅さがあり、匂うような美しさ。本編で年下のフランス人男性ローラン(メーディ・ネブー)に「一目ぼれ」されるのにも納得だ。

本作は、まだまだ社会的地位の低い女性の葛藤をソフトなテーマにしている。男女不平等は、欧米ならもう過去のことと思われるかもしれないが、案外そうでもないようだ。日本だって実はまだまだだろう。ましてやインドにはカースト制度が根強く残っている。女性の社会進出を阻むハードルは多いのだ。シャシは「(女として愛されるのは嬉しいが、まず人として)ちゃんと尊重して欲しい。」と強く望む。ちなみに本作の監督も女性。歌や踊りは少ないが、万人受けする楽しいストーリーの中に、社会や夫婦間の意識改革を促すメッセージが込められている。

vinglish3.jpg ハンサムなシャシの夫サティシュ(アディル・フセイン)は恐らくエリート・ビジネスマン。シャシを愛しているが、仕事の打ち合わせ中に「アナター、聞いて聞いて! 今日ねー、私のお菓子が大好評だったのよぉー。」なんて電話がかかってくると、鬱陶しく感じてしまう(当然だが)。シャシはお勤めをしたことがないから、わからないのかも。だが彼は妻が本格的に働くことには反対だ。菓子作りは小銭稼ぎ位にしておけよ、働く必要なんかないし、料理の腕は家族のために発揮すればいい、と言わんばかり。その意識は、妻には家事育児を優先し仕事はパート程度にして欲しいと望む、一昔前の(または今も続いている)日本人男性の考え方と全く同じであることに笑ってしまった。

vinglish4.jpg もう一つのソフトなテーマは、インド人としての誇り。空港や飛行機内の会話にはクスッと笑わせられる。英語ができないと不便なので勉強はするけれど、アメリカにヘイコラなんかしないよ! という気概が感じられる。服装も、ニューヨークへ来たからって気軽にナマ足を見せたりせず、民族衣装サリーで押し通す。なぜなら、それが一番彼女に似合っていて美しいから。インド人にとって、インドが世界で一番なのは当然だ。

英語の国アメリカにも英語がまともに話せない人は多いようだ。今も世界中から移民がドッサリやって来ているのだから当たり前か。シャシが通う英語学校の生徒たちの仲間意識は、“人種のるつぼ”アメリカへやって来た新参者同士の連帯感とも言える。こうして「ニューヨーカー」になっていくのだろう。

インドのチャーミングな中年女性が、ニューヨークで新しい自分を見つけるハッピーな物語。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)



 
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2014年04月30日

『ぼくたちの家族』お薦め映画

★★★★★ 2013年製作 日 (117 min)
【監督】石井裕也(舟を編む、あぜ道のダンディ、ハラがコレなんで)
【出演者】妻夫木聡(渇き。、スマグラー おまえの未来を運べ、ウォーターボーイズ、さよなら、クロ)
原田美枝子(愛を乞うひと、折り梅、OUT、ミスター・ミセス ミス・ロンリー)
池松壮亮(大人ドロップ、ダイブ!!、半分の月がのぼる空、鉄人28号)
長塚京三、黒川芽以、ユースケ・サンタマリア、鶴見辰吾
【あらすじ】最近物忘れがひどかった母・玲子が、末期の「脳腫瘍」で余命1週間と宣告された。 小さな会社を経営する父・克明は取り乱し、大学留年中の次男・俊平は頼りにならず、大手電機メーカーに勤務する長男・浩介は、思い詰めるばかり。 もはや治療する段階ではないと病院からは暗に退院を促され、更に、多額の借金が発覚する。 浩介は妻・深雪から、身重だから見舞いには行けないし、お金も生まれてくる子どものために使いたいと言われてしまう…。 ヒューマンドラマ。
原作:早見和真

『ぼくたちの家族』象のロケット
『ぼくたちの家族』作品を観た感想TB

画像(C)2013「ぼくたちの家族」製作委員会

kazoku1.jpg 【解説と感想】核家族化が進み、働き方や連休の過ごし方も多様化して、成人した子どもたちが実家へ足を運ぶ機会は減って来ている。盆暮に集まるのはいい方で、近くに住んでいるのに結婚式や葬式、法事ぐらいしか会わないと言う人もいる。そんなドライな子どもたちが実家へ駆けつけるのは、祝い事や心配事など、良い悪いにかかわらず、何かコトが起こった時だ。“コト”は更なる“コト”を引き寄せる場合がある。なぜなら、普段あまりコミュニケーションを取っていないので、知らなかったコトが一気に浮上してくるからだ。結果、新たな付き合いが始まったり、絶交になったりもする。

kazoku2.jpg 本作の主人公・若菜浩介(妻夫木聡)には、第1子を妊娠中の妻・深雪(黒川芽以)がいる。都内で一人暮らしをしている弟・俊平(池松壮亮)は大学生で、両親は、東京郊外の一軒家に住んでいる。父・克明(長塚京三)は小さな会社の経営者、母・玲子(原田美枝子)は専業主婦。平凡で幸せな家族だ。

ところが突然、元気だった母親が余命1週間の宣告を受けてしまう。ショックのあまり、父親は見苦しい程うろたえ、逆に弟は妙に明るく振る舞っている。二人が頼りにならないことを察知した浩介は、自分がしっかりしなくては何も進まないのだということを自覚する。父と息子の立場が逆転する時がやって来たのだ。

kazoku3.jpg 更に多額の借金問題が明るみに出て、そのせいで、浩介と妻の仲までギクシャクしてしまう。母の病気も借金も、そうと知った時にはもう手の施しようがない状態だった。何故もっと早く病気に気づかなかったのか、何故もっと早く借金のことを相談してくれなかったのかと悔やまれるが、普通はそんなものだろう。母親が病気にならなければ、借金に気づくこともなかったのだ。息子たちは実家に、そうそう顔を出してはいなかったはずだから。

kazoku4.jpg 病気が発覚する前のイメージは、父親は優しく包容力のある一家の主、母親は少し気が利かないが可愛い女、俊介はチャッカリしたイマドキの学生、浩介は誰に対しても言いたいことが言えないネクラ、深雪は勝気で夫の実家との付き合いが苦手なイマドキの嫁。彼らがそう見える理由も、だんだんわかって来る。そして家族の危機を前に、彼らは変わったのか、それとも本性を現したのか、それぞれ別の顔を見せ始める。

母親の病気は完治しないし、借金もゼロにはならないのは明らかだが、彼らはちょっとした「悪あがき」をする。「やれるだけのことはやった方が後悔しない。」と賛成する人も、「ここまで来たら諦めも必要。時間と体力と医療費の無駄だ。」と冷たい目で見る人もいるだろう。ただ、彼らの「悪あがき」は見ていて実に気持ちが良かった。

「目標に向かって頑張る過程こそが大事」だとか「一大事で家族の絆が深まった」とかいう、ありがちな満足感はゼロではないが、さほど重要視されていない。家族の病気も借金も良くあるホームドラマのテーマなのに、目線はサッパリしていて且つ、じんわりと温かい。地味なようで斬新な展開に、私は衝撃を受けた。この家族の行動は、いつか参考になる日が来るかもしれない。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)



 
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2014年03月01日

『アナと雪の女王』お薦め映画

★★★★★ 2013年製作 米 (108 min)
【監督】クリス・バック、ジェニファー・リー
【出演者】(声)クリステン・ベル、イディナ・メンゼル、ジョナサン・グロフ、ジョシュ・ギャッド、他
(日本語吹替)神田沙也加、松たか子、原慎一郎、ピエール瀧、他
【あらすじ】アレンデール王国の王女、姉エルサと妹アナは、幼い頃は大の仲良しだった。 しかし、雪や氷を作り出し、触れるものを凍らせる秘密の力があるエルサは、人を傷つけることを恐れて部屋に閉じこもってしまう。 …数年後、国王と王妃が亡くなり、エルサが王位を継ぐ日がやって来た。 アナは戴冠式にやって来たハンス王子と恋に落ちるのだが…。 ファンタジーアニメ。
歌:ロバート・ロペス、クリステン・アンダーソン=ロペス

『アナと雪の女王』象のロケット
『アナと雪の女王』作品を観た感想TB

画像(C)2014 Disney.All rights reserved.

frozen1.jpg 【解説と感想】アニメ作品、特にディズニー映画ではよく、子どもの頃に読んだ童話が趣向を変えて、それはそれで別物の楽しい作品として生まれ変わっている。オリジナルのストーリーと比べてみたいところだが、何せ遥か昔のことなので、アンデルセン作「雪の女王」の詳細など、覚えちゃいないのである。しかし、それくらいでいいと思う。事前に原作を読んだりせず、気になるなら映画鑑賞後に比べてみることをお勧めする。…確認したところ、全然違うストーリーだった!

本作はアカデミー賞の長編アニメーション賞と主題歌賞(「Let It Go」)にノミネートされている。既にオリジナルの素晴らしい歌声を耳にしていたので、是非とも字幕版で観たいところだったが、ファミリー向け作品なのでまずは吹替え版の試写を観た。「字幕版も観たいなー」と思いながら席に着いたが、さすがディズニー、下手な歌など聴かせるはずがなかったのだ!

主人公のアナ役の神田沙也加も、姉で雪の女王のエルサ役の松たか子も、度々ミュージカルに出演しているだけあって、セリフも聞き取りやすく、のびやかな歌声に魅了された。表情豊かなアニメキャラクターの顔が、二人の女優の顔と重なって見えてきそうなのを振り払うのが大変だったが、それは仕方のないこと。吹替版を観て良かったなと思った。

アナは元気が良く、下町育ちのようなチャキチャキのおてんば娘。行動的でハッキリ物を言う、いわゆる次女タイプ。対してエルサは、両親がハラハラしながら育てた典型的な長女タイプで、冷静で思慮深いが、特別な力を持つがゆえに引きこもり状態。正反対の性格だがいい姉妹で、互いのことを思いやっている。

最大の見せ場は、エルサが自分の力を解き放つ場面だ。王国が大変な事態になってしまうのはわかっていても、華麗な雪と氷の世界にウットリとしてしまう。一方、雪の怪物との戦いもすごい。私が気に入ったのは、とぼけた雪だるま・オラフ(声:ピエール瀧)のこと。お天気の時に彼がどうなるのか、心配してしまった。

frozen2.jpg アナを愛しているからこそ寄せつけたくないエルサの苦悩、アナとハンス王子(声:津田英佑)の恋の行方、アナの冒険を助ける山男クリストフ(声:原慎一郎)の行動など、ひとひねりある心情の描き方が大人をも引き込む。子どもたちの胸にも、しっかりと刻まれることだろう。

2月は関東も大雪に見舞われて、まだ被害が続いているところもあるが、道路では小中学生が、ウキウキワクワク大喜びで遊んでいた。雪には、空気中のホコリだけでなく、人の心をも浄化する不思議な力があるようだ。本作はそれに加えて、自分の殻を破り困難に立ち向かう勇気と希望を与えてくれる。

雪と氷の世界が幻想的に描かれる、ドラマティックなミュージカルアニメ。絵も楽曲もストーリーも素晴らしい、春休みのお薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)



 
posted by 象のロケット at 17:04| Comment(0) | TrackBack(13) | 超お薦め映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする