2015年04月19日

『映画 ビリギャル』お薦め映画

★★★★ 2015年製作 日 (117 min)
【監督】土井裕泰(いま、会いにゆきます、麒麟の翼 劇場版・新参者、涙そうそう、ハナミズキ)
【出演者】
有村架純(ストロボ・エッジ、阪急電車 片道15分の奇跡、JUDGE ジャッジ、あまちゃん)
伊藤淳史(フィッシュストーリー、ボクたちの交換日記、歓喜の歌、西遊記)
野村周平(日々ロック、江ノ島プリズム、スープ 生まれ変わりの物語、天国からのエール)
あがた森魚、安田顕、吉田羊、田中哲司
【あらすじ】名古屋の高校2年生さやかは、成績を心配する母に勧められ学習塾へ通うことに。 塾教師の坪田は、金髪パーマ、厚化粧にピアス、ミニスカートにへそ出しというギャル全開の姿で現れたさやかに面食らうが、夢は大きくと慶應大学(偏差値70)を志望校にすることを勧める。 さやかの学力は小4レベルで成績は学年ビリ(偏差値30)だったのだが…。 実話から生まれた、大学受験青春ドラマ。

『映画 ビリギャル』象のロケット
『映画 ビリギャル』作品を観た感想TB

画像(C)2015映画「ビリギャル」製作委員会

biligyal1.jpg 【解説と感想】賛否両論あるが、今や、家庭や学校のみならず職場でさえも、「厳しく叱って育てる」より「優しく褒めて育てる」教育をすべきだという意見が主流になりつつある。ところが、先日公開された「セッション」は、生徒をどんどん切り捨てる悪魔のようなスパルタ音楽教師と、ドラマーを目指す青年との師弟関係を描いた、背筋も凍るほどの傑作だった。本作は、「セッション」とは正反対の師弟ドラマ。遊んでばかりいた女子高生さやかと、落ちこぼれ生徒専門の塾教師・坪田信貴の実話から生まれた物語だ。

biligyal3.jpg 高校2年の夏休み、工藤さやか(有村架純)はイマドキのギャル風ファッションで、塾教師・坪田(伊藤淳史)の前に現れる。エスカレーター式の女子高だからと安心しきっていた彼女の学力は、小4レベルで学年ビリ(偏差値30)。高校教師(安田顕)からは匙を投げられていた。坪田の塾に通うのは落ちこぼれ生徒ばかり。驚くことに坪田は、さやかに慶應大学(偏差値70)を第一志望校にするよう勧める。彼は塾生たちが退屈しないよう楽しい話題を提供し、心理学を駆使した学習法で、とにかくやる気にさせてくれる。嫌々入塾した森玲司(野村周平)に対する、受験への動機づけも心憎い。

biligyal2.jpg さやかには仲のいい友達がいて、授業は聞いてなくても学校生活はエンジョイしている。品行方正ではないけれど、ワルではない。これは母親(吉田羊)の努力の賜。一方、父親(田中哲司)は弟(大内田悠平)を野球選手にすることしか考えていない。この夫婦は、勉強以外の面の子育てに力を入れて来た変わり者夫婦。つくづく親ってウザったいが有難いものだと思う。本作は、愛情が空回りしていた工藤家の再生物語にもなっている。

biligyal4.jpg さやかの場合、将来の目標がないから「ランクは下がっても○○科のある大学に行きたい」のではなく、「何科でもいいから慶応大学に合格すること」が最終目標。何も慶応でなくたって、そこそこの大学でいいじゃないかとも思う。誰も彼女が慶応に合格するなんて考えていない。ただ、目標が「そこそこ」だったら徹夜で勉強するだろうか。坪田とさやかだけは、本気で合格するために日夜頑張っている。大丈夫だよと励まされると、ひょっとしたら合格するんじゃないかと思えてくる。自分以上に自分を信じてくれる人がいるって、心強い!

この塾の生徒が、100%難関校に合格しているわけではないだろう。だが、仮にこの物語が全部フィクションだったとしても全然構わない。通常ならあり得ない目標に向かって頑張るさやかの姿は、自信を失っている人に俄然やる気を起こさせてくれる。毎日コツコツ努力することを怠り、何事も切羽詰まってからアタフタするのが私たち凡人である。学年ビリの女子高生とその家族が大学受験を通して変わっていく、熱いヒューマンドラマ。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


 
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2015年03月19日

『陽だまりハウスでマラソンを』お薦め映画

★★★★★ 2013年製作 独 (115 min)
【監督】キリアン・リートホーフ
【出演者】
ディーター・ハラーフォルデン
ターチャ・サイブト
ハイケ・マカッシュ(ラブ・アクチュアリー)
フレデリック・ラウ、カトリーン・ザース、カタリーナ・ローレンツ、オットー・メリース
【あらすじ】1956年、メルボルン・オリンピックのマラソン競技で金メダルを獲得した、西ドイツ出身のパウル・アヴァホフ。 彼はのんびり隠居生活を送っていたが、妻マーゴが病弱なため、夫婦で老人ホームへ入居することに。 しかし、人形制作や合唱といったレクリエーションは性に合わない。 一念発起した彼はベルリン・マラソンに出場すると宣言し、トレーニングを開始する…。 ヒューマンドラマ。 ≪人生に、引退はありません。≫
ドイツ映画賞最優秀主演男優賞

『陽だまりハウスでマラソンを』象のロケット
『陽だまりハウスでマラソンを』作品を観た感想TB

画像(C)2013 Neue Schonhauser Filmproduktion, Universum Film, ARRI Film & TV All rights reserved.

backontrack1.jpg 【解説と感想】本作の主人公パウル・アヴァホフ(ディーター・ハラーフォルデン:1935年生)は、1956年のメルボルン・オリンピックでマラソンの金メダルを取った(西)ドイツの国民的英雄。しかし、それから半世紀以上の時が経ち、彼は妻マーゴ(ターチャ・サイブト)と二人で老人ホームへ入居することになった。

私は、老人には概ね、(1)年寄り扱いされたくない人(ワガママで周りをハラハラさせる)と、(2)年相応の対応ができる人(冷静で付き合いやすいが、本人は葛藤している)と、(3)早くから妙に老け込んでいる人(長老として尊重しないと機嫌を損ねる)、(4)病気や身体障害がある人(看護・介護や支援が必要)、(5)認知症の人(看護・介護や支援が必要)の、5種類のタイプがあると感じている。パウルは(1)で、マーゴは(2)+(4)である。

老人施設では、まるで幼稚園か小学生向けのようなレクリエーションが行われることもある。それを受け入れられるのは(2)の熟慮型大人老人か、(5)の子どもに帰りつつある老人だ。中には憮然としている人もいる。どうやって長い一日を退屈せず安全に過ごすか、施設側も入居者たちも葛藤の連続だろう。私もあなたも、いつかは老人になる。合唱や人形作りなど、楽しめそうな気もするが、少なくともパウロはダメだった!

backontrack3.jpg 終の棲家の現実を受け入れることが出来ないパウロは、突然グラウンドを走り始め「ベルリン・マラソン」に出場すると言い出す。「俺は走るしか能のない男」とはいえ、既にりっぱなメタボ体型で、グラウンドを一周するのさえ大変なのにだ。ところが、なんてったって金メダリスト! 徐々に調子を取り戻してくるし、マーゴもサポート役に復帰し、まるで若い頃に戻ったよう。他の入居者たちから見れば、活動的な仲良し夫婦がうらやましい限り。しかし、ホームのスタッフは事故でも起こったらと心配でならない。おまけに、パウルが認知症か鬱病なのではと言い出す。色眼鏡をかければ、病名はいくらでもつけられそうだ。

backontrack2.jpg もちろん本人の強い意思によるもので、責任問題が起こらないよう一筆書けばの話だが、ある程度の年齢になったら、あまりうるさい管理はやめて本人の自由にさせてやればいいじゃないかと思う。だって、「○○をすれば、もういつ死んだっていい。」が、高齢者の口癖なのだから。悔いのない余生を過ごして欲しい。もしパウロがマラソンの途中で死んだとしても、きっと夫婦ともども本望だろうと私は思った。ただお迎えを待っているだけの人生なんて、真っ平ゴメン。高齢者は生き甲斐が欲しいのだ。様々な理由で出来ないことが増えていくのは、どんなに歯がゆいことだろう。

backontrack4.jpg パウロの若い頃の勇姿、そして今のメタボ姿、どちらの走りにも胸が熱くなる。なぜマラソンは、こんなにも人を感動させるのか? それはマラソンが「楽あれば苦あり、苦あれば楽あり」の人生に似ているからだろう。私は、どんなマラソン大会でも、頑張った選手全員に拍手を送りたいし、街なかでは、山あり谷ありの人生を送ってきた高齢者全員に対し、尊敬の念を持って接したいと思う。

仕事を持つパウロの一人娘ビルギット(ハイケ・マカッシュ)の悩み、老人ホームスタッフの立場、入居者たちの思い、パウロとマーゴ夫婦の関係など、日本とあまり変わりない老人問題が提示されているが、ユーモアたっぷりで明るい。生きる勇気と希望を与えてくれる前向きヒューマンドラマ。お薦め作品だ。
(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


 
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2015年02月25日

『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』お薦め映画

★★★★★ 2014年製作 米 (115 min)
【監督】ジョン・ファブロー(アイアンマン、ザスーラ、アイアンマン2、カウボーイ&エイリアン
【出演者】ジョン・ファブロー(ルディ 涙のウイニング・ラン、恋愛適齢期、ウルフ・オブ・ウォールストリート、ウィンブルドン)
ソフィア・ヴェルガラ(WILD CARD/ワイルドカード、ジゴロ・イン・ニューヨーク、フォー・ブラザーズ 狼たちの誓い)
ジョン・レグイザモ(スポーン、ムーラン・ルージュ、アサルト13 要塞警察、ビッグ・マネー)
スカーレット・ヨハンソン、ダスティン・ホフマン、オリバー・プラット、エムジェイ・アンソニー
【あらすじ】アメリカ・テネシー州の都市ブレントウッド。 10年前からレストランの総料理長を務めるカール・キャスパーは、人気フード・ブロガーであるラムジーの辛辣な批評に激怒し、慣れないツイッターで公然とラムジーにケンカを売ってしまう。 店を辞めたキャスパーは、元妻イネズ、10歳になる一人息子パーシーと旅行に行ったマイアミで本物のキューバサンドイッチの旨さに驚き、その移動販売を思いつく…。 ハートフルストーリー。
トライベッカ映画祭観客賞

『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』象のロケット
『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』作品を観た感想TB

chef1.jpg 【解説と感想】本作の主人公は、人気レストランの総料理長カール・キャスパー(ジョン・ファヴロー)。店のオーナー(ダスティン・ホフマン)は安定経営主義で、目新しい創作料理は好まない。だから人気フード・ブロガーのラムジー・ミシェル(オリバー・プラット)が来店した時も、カールは新作料理を披露したかったが、結局は珍しくも何ともない定番メニューを出すこととなった。

雇われている以上、オーナーや上司の命令は聞かなければならない。ラムジーのブロガーとしてのプロ意識は高く、ただ食べ歩きの感想を書き散らしているだけではないことも後でわかる。店のオーナーは常連客を大事にしており、一過性の人気に左右されたくないと思っているから、ブログの評判はあまり気にしない。3人の男それぞれが、信念を持って仕事をしている。

chef2.jpg ブログの評価から始まった騒動で店を辞めたカールは、元妻イネズ(ソフィア・ベルガラ)、10歳になる一人息子パーシー(エムジェイ・アンソニー)と、マイアミへ旅行に行った。そこで食べた本物のキューバサンドイッチの旨さに驚き、その移動販売を思いつく。長年のスタッフであるマーティン(ジョン・レグイザモ)と息子を助手に、古いフードトラック(つまりは屋台)でキューバサンドを売りながら、アメリカ大陸を横断することに。今、アメリカ西海岸で人気だというフードトラックを使った、ユニークなロード・ムービーだ。

chef3.jpg カールのキューバサンドイッチ、絶品である。食べなくても見れば分かる。鑑賞中、あなたもアツアツのキューバサンドを頬張りたくなるに違いない。作り方も全部分かったような気になるが、この三ツ星フードトラックと同じ味が出せるだろうか。狭いトラックの中は和気あいあいとしていて、雇われシェフの頃よりずっと楽しそう。しかし彼は、その気になればどんな料理だって作れる一流シェフなのだ。このままサンドイッチ一本で行くのだろうか…?

息子に「俺は料理しか能のない男だ」と語るように、カールは料理一筋の仕事人間。おかげで妻子を顧みる余裕がなく離婚した。しかし私は、カールのような仕事人間に拍手を送りたい。女性好みの趣味がなくても、電話やメールがマメじゃなくても、家事や日曜大工が苦手でも、風呂に入るヒマがなくても、いいじゃないか。遊ぶヒマもなく一生懸命仕事してるなんて、男の鑑。パパが真面目に働く姿を見て、子はまっすぐ育つのだよ。なーんて思った私、トシかなぁ…。

chef4.jpg ブロガーの評価、ツイッターでのケンカ、移動トラックの位置情報発信など、良くも悪くもSNS(ソーシャルネットワーク)が大いに活用されており、SNSなしでは成り立たない物語である。アナログ人間の髭もじゃカールに比べ、愛くるしい息子パーシー君の入力操作の手早いこと。最初は面白半分に手伝っていたパーシー君だが、この旅を通して、パパの仕事への情熱と生きる姿勢を理解したことは間違いない。

人生何が転機になるかわからないもの。フードトラックでの旅は、仕事でも家庭でも評判を落としてしてしまったカールに、原点に立ち戻ることを教えてくれた。料理しか能のない男が、激ウマサンドで起死回生を図る、美味しいハートフル・ストーリー。お薦め作品だ。
(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


 
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2015年01月22日

『娚の一生』お薦め映画

★★★★ 2014年製作 日 (118 min)
【監督】廣木隆一(ストロボ・エッジ、恋する日曜日、機関車先生、だいじょうぶ3組
【出演者】
榮倉奈々(檸檬のころ、図書館戦争、MIRACLE デビクロくんの恋と魔法、阿波DANCE)
豊川悦司(大停電の夜に、ハサミ男、今度は愛妻家、顔)
向井理(小野寺の弟・小野寺の姉、僕たちは世界を変えることができない。But, We wanna build a school in Cambodia.、ガチ☆ボーイ、百瀬、こっちを向いて。)
安藤サクラ、前野朋哉、落合モトキ、根岸季衣
【あらすじ】都会での仕事と恋に疲れ田舎の祖母の家に身を寄せていた堂園つぐみ。 ところが祖母の死後、祖母から鍵を預かっていたという中年男・海江田醇(じゅん)が、勝手に離れに住み始める。 祖母の教え子で大学教授だという海江田は「つぐみと結婚する予定だ。」と周囲に当たり前のように話し、つぐみを驚かせる…。 ラブ・ストーリー。
原作:西炯子(コミック) 主題歌:JUJU『Hold me, Hold you』

『娚の一生』象のロケット
『娚の一生』作品を観た感想TB

画像(C)2015 西炯子・小学館/「娚の一生」製作委員会

isshou1.jpg 【解説と感想】本作は郷里の九州(おそらくは鹿児島県出水市近辺)に帰ってきた若い女(原作では30代半ばという設定)堂園つぐみ(榮倉奈々)と、京都生まれの50代男性・海江田醇(豊川悦司)の恋愛話で、原作は西炯子のコミック。鑑賞後に読んでみたら、柱はもちろんラブストーリーであるが、親に恵まれない子の話、原発から地熱発電へのチェンジ(映画には登場しない)、キャリア女性の働き方チェンジ(映画には登場しない)、不倫を繰り返してきた女の恋愛チェンジ、大いなる地元愛(映画では控えめ)、と盛りだくさんで、足なめシーンが評判になった割に、ラブシーンは少なかった。ちなみにコミックは全4巻だが、書店によっては品切れで全巻揃っていない店もあったので、相当売れているようである。

大学教授である海江田は、昔大学で講師をしていたつぐみの祖母に惚れていたらしい。海江田と祖母では相当な年の差があり、何かあったのなら親族一同にとってもショックな話だ。祖母の家の離れに勝手に住み始め、つぐみと結婚するつもりだと周囲に言いふらす海江田は、場合によってはストーカーとして逮捕されてもおかしくない。哲学が専門で自由な発想の持ち主である海江田が祖母に惚れたのは、どうやら彼の生い立ちにも関係がありそうだ。

isshou2.jpg 一方つぐみは、会社では出世コースをひた走っていたようだが、恋愛の相手は妻帯者ばかり。出来る女性は成長前の年下男に走る傾向もあるが、自分と同じような出来る男を選ぶと、必然的に妻子持ちになってしまうことも多々ある。彼女が郷里に帰ってきたのに実家に戻らず祖母の家に滞在しているのは、不倫で傷ついた心を癒すためだ。ところが海江田は祖母の元カレだったかもしれない男。独身だと言っているがそんな話はあてにならない。不倫より更にディープな背徳の香りが漂ってくる。わあ、大人のコミックっていいなあ。

オッサン好きな女子のことを今は“枯れ専”といい、ファザコン娘はその傾向が大いにあるという。年上男性との不倫もその延長線にあるのではないだろうか。頼りない草食男子はイヤ、ガツガツした肉食男子もイヤ、でも臭い脂ぎったダサいオヤジは対象外。枯れてもカッコよくて頼りがいのある、昔でいえばロマンスグレーのオジサマが人気なのだ。しかし“枯れ専”って呼び方で、オジサマ方が最も気にする枯渇状態を連想してしまうのは、私だけだろうか。“枯れ専”女子自身は、決して枯れていないような気がするが…。

isshou3.jpg 榮倉奈々も豊川悦司も、スタイル抜群。つぐみの長い生足の美しさ、海江田のハダシに下駄のカッコよさは、この二人だからこそ表現できたといえる。抜群のキャスティングだ。そして話題のセクシーシーンはピカイチで、脱がなくてもこんな表現の仕方があるのかと感心した。原作をはるかに超えている。ぜひ楽しんで頂きたい。薪で風呂を沸かすような田舎屋敷で、若い美女とダンディオジサンがのどかな共同生活を営む夢のようなラブコメディ。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


 
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2014年12月17日

『百円の恋』お薦め映画

★★★★★ 2014年製作 日 (113 min)
【監督】武正晴(イン・ザ・ヒーロー)
【出演者】安藤サクラ(0.5ミリ、かぞくのくに、今日子と修一の場合、愛のむきだし)
新井浩文(青い春、近キョリ恋愛、血と骨、BOX 袴田事件 命とは)
稲川実代子(ハラがコレなんで)
根岸季衣、早織、宇野祥平、坂田聡
【あらすじ】32歳の斎藤一子は働きもせず実家に引きこもってゲーム三昧の毎日を送っていた。 ある日、離婚して実家に戻っていた妹・二三子と大ゲンカになり、一子がアパートで独り暮らしをすることに。 行きつけの100円ショップで深夜のアルバイトを始めた一子は、近くのボクシングジムで練習する中年男・狩野からデートに誘われる。 なぜ自分を誘ったのかと聞くと、情けない返事が返ってきた…。 ラブ・ストーリー。

脚本:足立紳(第一回松田優作賞作品) 主題歌:クリープハイプ『百八円の恋』

『百円の恋』象のロケット
『百円の恋』作品を観た感想TB

画像(C)2014東映ビデオ

100yen1.jpg 【解説と感想】女優・安藤サクラは、素顔はおしとやかなお嬢さんかもしれないのに、映画の中では図々しくて品のない女を演じることが多い。もちろん演技であることは分かっているが、イヤ〜な女や変な女が、妙に似合っている。脱ぎっぷりもいい。女優イメージを全然気にしないのかなと、前々から気になっていた。少し前の「0.5ミリ」も良かったが、今作では更にパワーアップしている。

本作の主人公・一子(安藤サクラ)は、実家の弁当屋を手伝いもせず、タバコをフカしながらゲーム三昧。ボサボサ頭の、だらしないグータラ娘である。出戻りの妹(早織)とケンカして家を出ることになり、彼女は32歳で初めての一人暮らしをすることになった。

余談だが、年頃の娘や息子を早く結婚させたいなら、一度一人暮らしを経験させると良いのだという。一人ぼっちの寂しさや不経済さが身に染みて、真剣に結婚を考えるらしい。厳しい門限もないし、友人も招きやすく、異性との付き合いも進展しやすいのだとか。

100yen2.JPG 一子の場合も、全くその手順通りにコトは進む。まずは家賃を払わねばならないから、一子は行きつけの100円ショップでアルバイトを始める。面接も採用も簡単すぎて笑ってしまう。そして、徒歩圏内のアパートと職場の間で(たぶん彼氏いない歴32年の彼女が)、これまた簡単に男を見つけてしまう。相手は中年ボクサーの狩野(新井浩文)で、100円ショップの常連。狩野が一子をデートに誘った理由は「断られなさそう」だったから。お手軽な百円の恋は、こうして始まった。

高嶺の花の美人より十人並みの女の方がモテるという。一子は同僚のオッサンにも言い寄られる。相手も別に一子じゃなくてもいいけれど、落としやすそうだから誘ったというのがアリアリ。一子はスキだらけで、敷居が低そうに見えるのである。

100yen3.JPG 勤務先では「他に働く奴はいくらでもいる。」というようなことを言われ、男からも「女なら誰でもいい」みたいな、残念な扱いをされている一子だが、後半、アッと驚く変身を遂げる。今まで何一つ頑張ったことがなかったのに、恋より夢中になれるものを見つけるのである。男にもしがみつかなかった一子が、それには食らいついて食らいついて離れない。

いやはや、驚いたのなんの! 映画の中の一子にも、そして演じている安藤サクラにも、私は感動してしまった。そりゃー、そのトシでそんなことそこまでやらなくてもと思うけれど、ボロボロになっても立ち上がる姿は、見苦しくて美しくて可愛らしい。自他共に認めるサエない女の価値もグーンとアップ! なりふり構わず頑張る一子を、ぜひ映画館で応援して欲しい。トコトン闘う女のドラマ。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


 
posted by 象のロケット at 12:37| Comment(2) | TrackBack(8) | 超お薦め映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする