2019年04月03日

『ザ・プレイス 運命の交差点』お薦め映画

★★★★★ 2017年製作 伊 (101 min)
【監督】パオロ・ジェノベーゼ(おとなの事情)
【出演者】
ヴァレリオ・マスタンドレア(ローマに消えた男、おとなの事情、天使が消えた街)
サブリーナ・フェリッリ(グレート・ビューティー 追憶のローマ)
ジュリア・ラッツァリーニ(母よ、)
アルバ・ロルヴァケル、マルコ・ジャリーニ、ロッコ・パパレオ、ヴィニーチョ・マルキオーニ
【あらすじ】イタリア・ローマ。 カフェ「ザ・プレイス」の奥まったテーブルに、一日中座っている中年男がいた。 彼の元には、入れ替わり立ち替わり相談者がやって来る。 男は話を分厚いノートに記録し、相談者たちに途方もない課題を突き付け、それを実行すれば希みは叶うと言うのだった…。 ミステリアス・ドラマ。

『ザ・プレイス 運命の交差点』象のロケット
『ザ・プレイス 運命の交差点』作品を観た感想TB

画像Copyright:(C)2017 Medusa Film SpA. All rights reserved.

place1.jpg 【解説と感想】 「因果応報」とは元来は仏教用語らしい。善行を積めばやがて幸福が、悪行を働けば災いが訪れるという道徳的な言葉だ。科学技術全盛の現代においても、良い子として躾けられた私たちは、そういうカルマ(業)の概念から抜けきれない。犯罪や他人を蹴落とす強欲な心の歯止めとなる意味では良いのかもしれない。だが、無欲な正直者であってもバカを見ることもあることを、私たちは知っている。

place2.jpg 本作は、カフェの中だけで進行する、ワンシチュエーション・ドラマ。カフェ「ザ・プレイス」に一日中座っている中年男(ヴァレリオ・マスタンドレア)がいて、彼の元にはひっきりなしに相談者がやって来る。彼らの望みは「息子の命を救いたい」という切実なものから、「美人になりたい」という贅沢なものまで様々。男は彼らにとんでもない課題を与え、実行すれば望みが叶うとアドバイスする。どういう訳かそれは「爆弾を仕掛けろ」とか、「女を犯せ」とか、倫理的にも法律的にも許されないことばかりなのだ。

place3.jpg 男は来るもの拒まずで、朝から晩まで物憂げに依頼人の相手をしている。儲けてはいなさそうだが、ボランティア精神旺盛なようにも見えない。気味悪さや怖さもない、一見普通の人間。ポーカーフェイスで、「課題をやるかやらないかは、あなたの自由」だと相手を突き放す。

place4.jpg 9名の依頼人、アルツハイマーの夫と暮らす老女、修道女、刑事、刑事の息子、その恋人、ピンナップガールと関係を持ちたい男、癌の息子を救いたい父親、盲目の男、夫の関心を引きたい妻、の事案はバラバラなようで少しずつ繋がっている。アメリカのテレビドラマが原作だというが、組み立ての巧みさに唸らされた。

色っぽいカフェの女性店員(サブリーナ・フェリッリ)は、謎めいた常連客の彼に興味津々で、閉店後の片づけをしながら突っ込んだ会話を仕掛けてくるが、男は素っ気なくて個人的な話はほとんどしない。ただ、彼はかなり疲れていて、体力と気力の限界が近づいているようにも感じられる。

place5.jpg 望みを叶えるため、相談者は他人を不幸にしなくてはならない。人として許されないと悩んだり、他の手はないかと聞いてみたり、男を悪魔だと非難したりと、迷える依頼人は何度も何度もカフェにやって来るが、男の答えはいつも同じ。実行しなければ望みは叶わないのだ。次第に各自の腹も決まって来る。本当に、やれば望みは叶うのか? それで幸せになれるのか? 罰として災いはやって来ないのか? 老若男女の運命が交錯するミステリアスなドラマ。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)

 
 
 


posted by 象のロケット at 21:16| 超お薦め映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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