2018年07月11日

『タリーと私の秘密の時間』お薦め映画

★★★★★ 2018年製作 米 (95 min)
【監督】ジェイソン・ライトマン(JUNO/ジュノ、マイレージ・マイライフ、サンキュー・スモーキング、ヤング≒アダルト
【出演者】
シャーリーズ・セロン(スタンドアップ、マッドマックス 怒りのデス・ロード、モンスター、ヤング≒アダルト)
マッケンジー・デイヴィス(ブレードランナー 2049、オデッセイ)
マーク・デュプラス(ラザロ・エフェクト)
ロン・リヴィングストン、アッシャー・マイルズ・フォーリカ、リア・フランクランド
【あらすじ】
産休中の女性マーロは長男と長女の世話で大忙しだが、多忙な夫ドリューは家事も育児もマーロに任せきり。 兄の提案で、次女を出産した後は思い切って夜間のベビーシッターを頼むことに。 22時半に現れたのは驚くほど若い女性タリーだったが彼女の仕事は完璧で、マーロとタリーはいつしか友情を育んでいく…。 ヒューマンドラマ。

『タリーと私の秘密の時間』象のロケット
『タリーと私の秘密の時間』作品を観た感想TB

画像Copyright:(C)2017 TULLY PRODUCTIONS.LLC. All rights reserved.

tully1.jpg 【解説と感想】 ハリウッド女優シャーリーズ・セロンの近年のイメージは、「カッコイイ大人の女性」。スタイル抜群で美人なのは言うまでもない。そんな彼女は役作りのため、2003年の「モンスター」では15キロほど増量したらしいが、本作でも臨月の妊婦を演じるために16〜20キロも増量したという。2015年の「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(これはこれでイメージを覆す強烈キャラだったが)や、2017年の「アトミック・ブロンド」で演じた強い女とは対極にあるようなダラっとした体を見て、最初は誰だか分らなかったほどだ。

tully2.jpg 産休中の主人公マーロ(シャーリーズ・セロン)は、幸せ太りしているのではない。とにかく疲れ切っている。おませな長女サラは手がかからないものの、長男ジョナは情緒不安定でキレると暴れて手が付けられない。夫ドリュー(ロン・リヴィングストン)は真面目に働き、家事や育児にはあまり手を出さない一般的な男。マーロも仕事を持っているのだが、夫に不満をぶちまけたりせず何もかも自分でこなす、いわゆる貯め込むタイプ。そんな妹を見かねて裕福な兄クレイグ(マーク・デュプラス)が、出産祝いに夜間専門のベビーシッターを用意してくれた。他人に家事・育児を任せることに抵抗感があったマーロも、次女ミアが産まれて限界を感じ、ようやく依頼する気になった。

tully4.jpg 現れたのはベテランのおばさんではなく、意外にも20代の若い女性タリー(マッケンジー・デイヴィス)だった。タリーは有能で、仕事以上のことまで気を利かせてやってくれる。マーロはようやく夜眠れるようになり、元気も笑顔も取り戻した。かなり年下なのに、タリーは姉のようにマーロの不安を受け止めアドバイスしてくれる。マーロにとってタリーは、唯一無二の親友になった。しかし、めでたしめでたし…とはいかない。あっと驚く結末が待っているのだが、詳しいことは語らないでおこう。

tully3.jpg これから結婚して親になるかもしれない方、今まさに家事や育児で疲れ果てている方、もうこんな大変な時期を乗り越えた方、その他忙しい思いをしているあらゆる女性の共感を呼ぶストーリーだ。主婦ってお母さんって、こんなに大変なのだと身につまされる。しかもこれはアメリカ映画。日本なら、もっともっと大変だろうと思う。

tully5.jpg マーロの夫の印象は薄い。登場が少ないのは、彼がほとんど家のことをやっていないからでもある。気持ちは優しく一見協力的だが、普段はほとんど帰宅してメシを食って寝るだけの彼は、どんなに家事や育児が大変か、妻が仕事との両立に悩んでいること、ボロボロに疲れていること、キレイにしたくてもできないこと、どんどん脂肪がついてしまうこと…、ああ、数え上げればキリがないが、そんなことにまるで気づいていない。そう、夫に悪気はないのだ。だから、妻はちゃんと分かるように言わなくてはならない。「あなたも手伝って!」と。限界が来て鬼の形相になる前に! 誰もがベビーシッターを雇える訳ではない。マーロは子育てより先に、夫を育てておくべきであった。夫の仕事が忙しい、忙しくないはあまり関係がない。そこはやる気一つである。

「完璧主義のお母さん、一人で頑張りすぎないで!」と思わず声をかけたくなる。子育ての修羅場だけでなく、その時期の微妙な夫婦関係、年齢と共に変わっていく人生観や幸福感、周囲の気遣いなど、細かい点までリアルに描いてあるのは、脚本家自身の子育て体験から生まれた作品ということもあるのだろう。あらゆる世代のカップルに見て頂きたい家族のドラマ。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)

 
 
posted by 象のロケット at 18:17| 超お薦め映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする