2018年01月11日

『RAW 少女のめざめ』お薦め映画

★★★★ 2016年製作 仏・ベルギー (98 min)
【監督】ジュリア・デュクルノー
【出演者】
ギャランス・マリリエ
エラ・ルンプフ
ラバ・ナイト・ウフェラ
ローラン・リュカ、ジョアンナ・プレイス、ブーリ・ランネール、マリオン・ヴェルヌ
【あらすじ】学業優秀な16歳の少女ジュスティーヌは、両親・姉と同じ獣医科大学に入学し寮生活を始める。 上級生による地獄の新入生歓迎行事が続き、ある日、ウサギの生の腎臓を強制的に食べさせられてしまう。 ベジタリアンの彼女は心身に異変を感じるが、やがて生肉にかじりつくように。 そして、姉アレックスにも同じ異変が起こっていることに気づく…。 サスペンス・スリラー。 R-15+
カンヌ国際映画祭批評家連盟賞、ゲント国際映画祭エクスプロー賞、他多数受賞

『RAW 少女のめざめ』象のロケット
『RAW 少女のめざめ』作品を観た感想TB

画像Copyright:(C)2016 Petit Film,Rouge International,FraKas Productions. All rights reserved.

raw1.jpg 【解説と感想】ベジタリアン=菜食主義者には、健康目的の人、思想信条的に肉を食べない人、単なる菜食志向の人がいる。軽い健康目的ならたまには外れたっていいのだが、宗教目的だとダシや調味料にも動物性を許さない。食を制限すると、頭がクリアになり身体も思考も研ぎ澄まされていくような気がしてくる。しかし、肉魚を好む人は攻撃的で、菜食主義者は平和的だというのは幻想だろう。近年、「肉食女子」「草食男子」という言葉が、恋愛に積極的、消極的という意味で広がっている。肉は精(性)をつけるというイメージもある。食と精神は、切り離せないものなのだろう。確かに修行者は精進料理を食べ、女を遠ざける。

raw2.jpg 本作の主人公は16歳の少女ジュスティーヌ。飛び級なのか神童と言われるほど優秀な彼女は、両親の母校である獣医科大学に入学する。姉アレックスも同じ大学にいるので心強い。彼女の家族は厳格なベジタリアンだが、宗教目的ではなさそうである。

彼女の母親は間違ってシチューに肉片を入れたレストランの店員を「娘はアレルギーなのよ!」と怒鳴る。一般的に、慣れないものを食べると身体は何らかの反応を示す。植物性食品しか食べない生活を長年続けていた人が、突然肉を食べた時の衝撃は相当なもの。心身が動物性食品に拒否反応を起こし具合が悪くなってしまう人もいれば、その美味しさに感動し肉料理が大好きになる人もいるのだとか。考え方や生き方が変わる人もいるらしい。アレルギーとはまさに、ワケが分からない反応なのである。

raw3.jpg この獣医科大学、上級生によるイカれたシゴキが多い。たぶん生まれてこの方、まともに肉を食べたことのないジュスティーヌが、新入生歓迎行事で動物の血を浴びせられ、ウサギの生の腎臓を強制的に食べさせられてしまう。この地獄のシゴキを通過すれば、獣医学科の動物実験や解体・解剖にも抵抗がなくなるに違いない。ジュスティーヌはショックを受けるが、異変は身体だけでなく、精神にも及ぶ。そして姉アレックスにも同じ反応が起きていることに気づく。姉妹の変貌ぶりは凄まじく、肉の美味しさの虜となり、性に目覚めるくらいならよかったのだが、凄惨な事件が起こってしまう。これはホラーである。誤解をする方はいないだろうが、肉を食べたベジタリアンが皆こうなるわけではない、念のため。

raw4.jpg 親の言いなりだった気弱な少女ジュスティーヌが、強い女性へと変わっていく。姉アレックスは既に変わっていたが、妹を見て安心したのか、更に進化してゆく。詳細は書かないが、姉妹が一緒にいる時に起こった、犬を巻き込むアクシデントは、目を背けたいシーンなのに描写が素晴らしかった。迫真の演技で、終盤の大事件よりずっと印象に残る。

血まみれ描写が続くが、清楚なジュスティーヌとセクシーなアレックスの姉妹が魅力的で、どんどん変わっていく彼女たちの表情から目が離せない。エグいが美しく繊細な青春ドラマであり、見ごたえのあるサスペンス・スリラー。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


 
 
posted by 象のロケット at 19:12| Comment(0) | 超お薦め映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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