2017年11月15日

『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』お薦め映画

★★★★★ 2016年製作 米 (103 min)
【監督】トラヴィス・ナイト
【出演者】
(声)アート・パーキンソン、シャーリーズ・セロン、マシュー・マコノヒー、レイフ・ファインズ、ルーニー・マーラ、他
(日本語版吹替)ピエール瀧、川栄李奈、小林幸子、他
【あらすじ】三味線の音色で折り紙に命を与え、意のままに操る少年クボ。 闇の魔力を持つ祖父・月の帝に狙われた彼は、片目を奪われ、父親を亡くし、更には母までも亡くしてしまう。 クボは月の帝と戦うことを決意し、厳しいが面倒見のよいサル、ノー天気なクワガタの姿をした元ニンジャ侍と共に旅に出る。 戦いに勝つためには、3種の武器が必要だった…。 アニメーション。

アカデミー賞ノミネート(長編アニメーション賞・視覚効果賞)、アニー賞キャラクターアニメーション賞・美術賞・編集賞、他多数受賞

『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』象のロケット
『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』作品を観た感想TB

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kubo1.jpg 【解説と感想】先月、有楽町の外国人観光客向け劇場「オルタナティブシアター」のこけら落とし公演「アラタ」を見てきた。一応ストーリーはあるがセリフはほぼなく、チャンバラ世界の雰囲気を楽しんでもらおうというエンタテインメントだった。とにかく今、ニンジャとサムライは外国人に大人気。東京オリンピックへ向けて今後の需要も高まるばかりだが、全国各地のテーマパークではニンジャが大変不足しているらしい。また観光客向けの土産物店には、折り紙、扇子、手ぬぐい、箸等が並んでいて、和の小物の人気のほどがうかがえる。「さて、本作はアメリカ人監督が作った、日本を舞台にした時代劇ファンタジー・アニメ。監督はかなりの親日家で時代劇がお好きのようだ。

kubo2.jpg 主人公は片目のない少年クボ。彼は三味線の音色で折り紙に命を与え、意のままに操るという不思議な力を持っている。クボは苗字ではなく、名前(ファーストネーム)。母は息子を「クボ」と呼ぶ(ケンとかジョーで良かったのに)。かなりモヤモヤするけれど、許してあげよう。クボは心を病む母と2人暮らし。亡き父ハンゾウはサムライだった。ハンゾウを殺したのは闇の魔力を持つ母方の祖父“月の帝”で、2人の恐ろしく強い伯母を使ってクボを闇の世界に引き入れようとしている。

kubo3.jpg クボは折り紙で出来た武士を道案内に、厳しいが面倒見のよいサルと、ノー天気なクワガタの姿をした元ニンジャ侍と共に、月の帝を倒すための武器、「折れずの刀」「負けずの鎧(よろい)」「敗れずの兜(かぶと)」を探す冒険の旅に出る。途中で伯母たちに何度も襲撃される。化け物たちとの戦いもあり、お化け屋敷に迷い込んだような気にもなるが、サルとクワガタのやり取りが笑わせてくれる。躾や教訓がちょっぴり入っているのも、昔ばなし風だ。

kubo4.jpg アメリカ人監督が作ったとは思えないほど、日本的な物語。ストーリーも絵も音楽も、日本文化を研究した上で製作されているのがわかる。外国映画によく登場する、アジアを一緒くたにしたヘンな日本ではない。クボが暮らす村の描写は江戸時代風だし、登場人物の髪型や着物は身分に応じたもので、布の質感まで出ている。お祭りや灯籠流し、墓参りには風情がある。三味線の音色は格調高く(日本語吹替版の主題歌は、世界的三味線奏者の吉田兄弟が担当)、折り紙が自在に姿を変える様は見事で夢があり、浮世絵を感じさせる場面もある。わびさびを感じさせる一方、戦いの見せ場は大掛かりでワクワクドキドキさせてくれる。本作には外国人が大好きな「日本」が、いっぱい詰まっているのである。

キャラクターの顔立ちは西洋アニメに出てくる東洋人という感じでつり目だが、日本アニメのおメメぱっちりキャラクターよりずっと日本人っぽく、表情も豊かだ。1コマずつパーツをはめかえる、大変手間のかかる「リプレイスメント・アニメーション」技法で作られているのだという。字幕版も一興だったが、やはり吹替版の方が落ち着く気がした。

天涯孤独のクボを、いつも誰かが見守っている。ラストは意外な展開で、ジーンとさせられた。試練を乗り越え、少年が本当の強さと優しさを見につけていく成長物語。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)

 
 
posted by 象のロケット at 19:38| 超お薦め映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする