【監督】長谷井宏紀
【出演者】
サイデル・ガブテロ、ピーター・ミラリ、ジョマル・ビスヨ、レイモンド・カマチョ
【あらすじ】フィリピンの路上で暮らす孤児の少女ブランカは11歳。 盗みや乞食をして暮らす彼女の夢は、普通の家で暮らし学校へ行くことだった。 ある日彼女は、お母さんをお金で買うことを思いつく。 そんな時、路上でギターを弾く陽気な盲目の老人ピーターと出会う。 ピーターのギターでブランカが歌うと順調に稼げるようになり、貯金も少しずつ増えていったのだが…。 ヒューマンドラマ。 ≪お母さんはいくらで買えるの?≫
ヴェネツィア国際映画祭マジックランタン賞・ソッリーゾ・ディベルソ賞、他多数受賞
→『ブランカとギター弾き』象のロケット
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本作は、フィリピンの路上生活者に焦点を当てた物語だ。年配者ならホームレス、子どもならストリート・チルドレンと呼ばれる彼らには、家も家族もない。彼らを産んだ母親も同様で、孤児院の存在など知らないのかもしれない。孤児たちは物乞いや盗みをして生きるしかなく、児童買春や臓器売買の危険にも晒されることとなる。成長したら大きな犯罪にかかわる率も高い。まさに貧困の連鎖である。

姉御肌でやり手のブランカだが、それでもまだ11歳。彼女は「お金を出せば母親が買える」という大人の軽口を信じてしまう。ブランカの夢は、ごくごく普通の暮らし。家族がいて、家があって、学校へ行くこと。小銭を貯めて母親を買おうと、彼女は俄然「仕事」にやる気を出す。稼ぐために、ブランカとピーターは旅に出ることになった。


驚くべきことに、本作の監督は日本人。そういえば、インドのスラム育ちの少年が主人公の「スラムドッグ$ミリオネア」も、イギリス人監督の作品だった。少女の歌と老人のギターの音が耳に残り、美しい色彩の映像が印象的なロードムービー。お薦め作品だ。
(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)