【監督】ダン・ギルロイ
【出演者】
ジェイク・ギレンホール(エンド・オブ・ウォッチ、プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂、ムーンライトマイル、ZODIAC)
レネ・ルッソ(身代金、ティン・カップ、トーマス・クラウン・アフェアー、ビッグ・トラブル)
リズ・アーメッド、ビル・パクストン
【あらすじ】学歴もコネもなく仕事にあぶれていた男ルーは、たまたま事故現場を通りかかる。 そこにいたのは「ナイトクローラー」と呼ばれる、報道スクープ専門の映像パパラッチだった。 早速ビデオカメラを手に入れたルーは、警察無線を傍受しながら事件や事故の発生を待ち、猛スピードで車を走らせて現場に駆け付ける。 過激な映像は高く売れたが、局の要求はさらにエスカレートしていく…。 サスペンス・スリラー。
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画像(C)2013 BOLD FILMS PRODUCITONS, LLC. All rights reserved.
【解説と感想】真面目な報道がある一方で、マスコミの「フライング」や「ヤラセ」、「不自然な沈黙」、「情報操作」等への疑念も拭えない。先日、選挙権年齢が18歳に引き下げられることが決まった。報道を鵜呑みにしてはいけないと、小学生の頃から教えておくべきだろう。しかし、根拠のない噂話も、ニュースで取り上げられると信じてしまうのが人情。嘘と真実を見分けることは、大人であっても難しい。
本作の主人公ルイス(ジェイク・ギレンホール)は、芸能ネタではなく、事件・事故現場を撮影し、その映像をテレビ局に売って稼ぐフリーカメラマン(通称:報道パパラッチ“ナイトクローラー”)。まずはジェイク・ギレンホールの、ギスギスギラギラした容姿に驚かされた! 役作りのため12キロ減量し、昼夜逆転の生活を続けたのだという。失業中で食うや食わずの生活を送っていたルイスは、偶然遭遇したカメラマンの真似をして写真を撮り、テレビ局へ売り込みに行く。経験もツテもないのに、大した度胸である。
世の中には、ハッタリをかまし前へ前へ出て成功する人と、怖気づいて後ずさりし川へ落ちてしまう人がいる。明らかにルイスは前者で、私は後者だ。ルイスの見上げた根性はハングリー精神に裏打ちされている。盗みや不法侵入、ヤラセなんて朝飯前。罪悪感なんか感じない。生きるためには何だってやってやると腹をくくっている。不屈の闘志とサバイバル能力は買うが、決してお近づきにはなってはいけない。利用されて後悔するだけ…ああ、そんなふうに考えるから、私は川へ落ちてしまうのだ!
ルイスの、テレビ局の女性ディレクター、ニーナ(レネ・ルッソ)への態度は図々しく、部下のリック(リズ・アーメッド)への態度は尊大。とんでもないパワハラ&セクハラ野郎である。たとえ成功したとしても、ずっと彼は一匹狼だろう。いや、それ以前に、逮捕されてしまうのではないか? とまあ、主人公のイヤな面ばかりが目についてしまうが、ストーリーは文句なしに面白い! 警察の無線をキャッチして、深夜のロサンゼルスを走り回るナイトクローラーたちは、餌に群がるハイエナ。まるで報道パパラッチの密着ドキュメンタリーを見ているようだ。死者や怪我人に敬意を払うことなく、嬉々としてカメラを回すルイスの顔は、ホラー映画の殺人鬼よりイカれている。スマホで撮影し送信できる今は、誰でもがパパラッチになり得る時代。ひょっとして、私たちもこんな顔になっていやしないだろうか?
テレビ局のアナウンサーはあらかじめ、過激なスクープ映像を見るか見ないかは“自己責任”だと警告してから映像を流す。興味本位でそれを見ている視聴者も、撮ったモン勝ち、放送したモン勝ちのパパラッチ世界を助長させていることになる。ここまで割り切らなければ、生き残れないのだろうか? いやいや、ルイスには必ず天罰が下るはず、彼の末路は哀れなものに違いないと、あなたは期待するかもしれない。彼がどうなるのかについては、ぜひ劇場でご確認を。テレビ業界の裏側を覗いているうちに、人間の本性を見せられているような気になってくるサスペンス・スリラー。お薦め作品だ。(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


