2014年04月30日

『ぼくたちの家族』お薦め映画

★★★★★ 2013年製作 日 (117 min)
【監督】石井裕也(舟を編む、あぜ道のダンディ、ハラがコレなんで)
【出演者】妻夫木聡(渇き。、スマグラー おまえの未来を運べ、ウォーターボーイズ、さよなら、クロ)
原田美枝子(愛を乞うひと、折り梅、OUT、ミスター・ミセス ミス・ロンリー)
池松壮亮(大人ドロップ、ダイブ!!、半分の月がのぼる空、鉄人28号)
長塚京三、黒川芽以、ユースケ・サンタマリア、鶴見辰吾
【あらすじ】最近物忘れがひどかった母・玲子が、末期の「脳腫瘍」で余命1週間と宣告された。 小さな会社を経営する父・克明は取り乱し、大学留年中の次男・俊平は頼りにならず、大手電機メーカーに勤務する長男・浩介は、思い詰めるばかり。 もはや治療する段階ではないと病院からは暗に退院を促され、更に、多額の借金が発覚する。 浩介は妻・深雪から、身重だから見舞いには行けないし、お金も生まれてくる子どものために使いたいと言われてしまう…。 ヒューマンドラマ。
原作:早見和真

『ぼくたちの家族』象のロケット
『ぼくたちの家族』作品を観た感想TB

画像(C)2013「ぼくたちの家族」製作委員会

kazoku1.jpg 【解説と感想】核家族化が進み、働き方や連休の過ごし方も多様化して、成人した子どもたちが実家へ足を運ぶ機会は減って来ている。盆暮に集まるのはいい方で、近くに住んでいるのに結婚式や葬式、法事ぐらいしか会わないと言う人もいる。そんなドライな子どもたちが実家へ駆けつけるのは、祝い事や心配事など、良い悪いにかかわらず、何かコトが起こった時だ。“コト”は更なる“コト”を引き寄せる場合がある。なぜなら、普段あまりコミュニケーションを取っていないので、知らなかったコトが一気に浮上してくるからだ。結果、新たな付き合いが始まったり、絶交になったりもする。

kazoku2.jpg 本作の主人公・若菜浩介(妻夫木聡)には、第1子を妊娠中の妻・深雪(黒川芽以)がいる。都内で一人暮らしをしている弟・俊平(池松壮亮)は大学生で、両親は、東京郊外の一軒家に住んでいる。父・克明(長塚京三)は小さな会社の経営者、母・玲子(原田美枝子)は専業主婦。平凡で幸せな家族だ。

ところが突然、元気だった母親が余命1週間の宣告を受けてしまう。ショックのあまり、父親は見苦しい程うろたえ、逆に弟は妙に明るく振る舞っている。二人が頼りにならないことを察知した浩介は、自分がしっかりしなくては何も進まないのだということを自覚する。父と息子の立場が逆転する時がやって来たのだ。

kazoku3.jpg 更に多額の借金問題が明るみに出て、そのせいで、浩介と妻の仲までギクシャクしてしまう。母の病気も借金も、そうと知った時にはもう手の施しようがない状態だった。何故もっと早く病気に気づかなかったのか、何故もっと早く借金のことを相談してくれなかったのかと悔やまれるが、普通はそんなものだろう。母親が病気にならなければ、借金に気づくこともなかったのだ。息子たちは実家に、そうそう顔を出してはいなかったはずだから。

kazoku4.jpg 病気が発覚する前のイメージは、父親は優しく包容力のある一家の主、母親は少し気が利かないが可愛い女、俊介はチャッカリしたイマドキの学生、浩介は誰に対しても言いたいことが言えないネクラ、深雪は勝気で夫の実家との付き合いが苦手なイマドキの嫁。彼らがそう見える理由も、だんだんわかって来る。そして家族の危機を前に、彼らは変わったのか、それとも本性を現したのか、それぞれ別の顔を見せ始める。

母親の病気は完治しないし、借金もゼロにはならないのは明らかだが、彼らはちょっとした「悪あがき」をする。「やれるだけのことはやった方が後悔しない。」と賛成する人も、「ここまで来たら諦めも必要。時間と体力と医療費の無駄だ。」と冷たい目で見る人もいるだろう。ただ、彼らの「悪あがき」は見ていて実に気持ちが良かった。

「目標に向かって頑張る過程こそが大事」だとか「一大事で家族の絆が深まった」とかいう、ありがちな満足感はゼロではないが、さほど重要視されていない。家族の病気も借金も良くあるホームドラマのテーマなのに、目線はサッパリしていて且つ、じんわりと温かい。地味なようで斬新な展開に、私は衝撃を受けた。この家族の行動は、いつか参考になる日が来るかもしれない。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)



 
posted by 象のロケット at 20:20| Comment(0) | TrackBack(3) | 超お薦め映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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