2013年02月01日

『脳男』お薦め映画

★★★★ 2012年製作 日 (125 min)
【監督】瀧本智行
【出演者】生田斗真、松雪泰子、江口洋介、二階堂ふみ、太田莉菜、大和田健介、染谷将太
【あらすじ】都内近郊で無差別連続爆破事件が頻発していた。 刑事・茶屋は犯人のアジトを突き止め踏み込むが、犯人はアジトを爆破し逃走。 現場で犯人と格闘していたらしい男が共犯者と見なされ逮捕される。 鈴木一郎と名乗るその男の精神鑑定を依頼された精神科医・鷲谷真梨子は、全く感情を表さない彼に興味を持ち、鈴木の本名や過去を調べ始める。 そんな中、鈴木を乗せた護送車を、爆撃犯の若い女二人組が襲撃する…。 ミステリー。
原作:首藤瓜於 主題歌:キング・クリムゾン『21世紀のスキッツォイド・マン』

『脳男』象のロケット
『脳男』作品を観た感想TB

画像(C)2013 映画「脳男」製作委員会

nootoko1.jpg 【解説と感想】 たくさん映画を見ていると、題名や内容をあっという間に忘れてしまうことも多い。私の脳の記憶容量が小さいために、忘れ去ることで脳を守っているのだと勝手に解釈している。そんな私でも「脳男」いう強烈なタイトルは決して忘れない。ストーリーは…もちろん忘れたわけではないが、あまり多くを述べない方が楽しめるだろう。

爆破事件の容疑者である主人公の脳男こと自称:鈴木一郎(生田斗真)は、知能が高くハンサムで運動神経抜群。しかし、取調室での受け答えは人形のようで、感情のカケラも見えない。ワクワクさせる導入部である。ひょっとしたら脳男は犯人ではないかもしれない。だが、全くのシロではなさそうだ。

脳男は正体が明かされた後でもなお、理解し難い人物である。動機が今一つ断定できないのだ。何を考えているのか誰もが知りたいところだが、脳男は精神科医・鷲谷(松雪泰子)から虚を突くように「私とセックスしたい?」と繰り返し質問されても、動揺したり笑ったりするどころか、まばたき一つしない。(こういう際どい質問は松雪泰子のような美人だから許せる。)しかしながら、そこはかとなく悲しみが透けて見えてくる。見えない涙が見えてくる。

これまでの生田斗真主演作の中で、本作はピカイチの作品だと思った。劇中でかなりの量のセリフを喋るが、共演者に対してはずっと無表情で感情を見せない一方で、観客には脳男の内面をしっかりと伝えなければならないという、ハイレベルの演技が求められる。きっと彼も、こういう仕事を待っていたに違いない。筋トレや武術鍛錬、食事制限という肉体改造と、引きこもりになるほどの感情移入と、役作りにも力が入ったらしい。その準備は当たり前とも言えるが、人気者であればあるほど、その時間を取ることが許されないのが実情だろう。是非、今後も頑張って欲しい。

原作は2000年に第46回(江戸川乱歩賞を受賞した首藤瓜於(しゅどううりお)の推理小説。異色のダークヒーロー“脳男”という設定が斬新な上に、どのキャラクターも魅力的に描かれている。医師・鷲谷と刑事・茶屋(江口洋介)は、数少ない脳男の理解者である。ダークヒロイン(原作では男性)として登場する緑川(二階堂ふみ)は、脳男に匹敵するほど知能指数の高い“脳女”。破滅的でエグいが、幼稚さが先に立つ。ハードボイルドな描き方は好きだが、ラストの展開には賛否両論が巻き起こりそうだ。

プレス資料はまるで写真集のようだし、スクリーンの中の脳男も徹底的に美しく魅力的に撮られている。ただ、残虐シーンも多いのでご注意を。動機は正反対でも、ためらいなく殺人を犯す若者たちの頭脳戦が繰り広げられる、戦慄のバイオレンス・サスペンス。役者・生田斗真の新しい魅力を発見できるお薦め作品だ。
(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)



 
posted by 象のロケット at 13:59| Comment(0) | TrackBack(11) | 超お薦め映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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