2011年03月11日

『キッズ・オールライト』お薦め映画

★★★★ 2010年製作 米 (107 min)
【監督】リサ・チェロデンコ
【出演者】アネット・ベニング、ジュリアン・ムーア、マーク・ラファロ、ミア・ワシコウスカ、ジョシュ・ハッチャーソン
【あらすじ】アメリカ西海岸。 18歳の女の子ジョニは、母親ニックと、同じ父親を持つ15歳の弟レイザー、レイザーの母親ジュールスの4人暮らしで、ママたちは同性愛カップル。 自分たちの遺伝子上の父親に興味を持ったジョニとレイザーは、レストランのオーナーをしているポールという独身男性を探し出す。 気さくなポールは、すんなりと家族に溶け込んでいくのだが…。 ヒューマンドラマ。
ゴールデン・グローブ賞作品賞・主演女優賞(ミュージカル/コメディ部門)、他多数受賞
『キッズ・オールライト』象のロケット
『キッズ・オールライト』作品を観た感想TB

画像(C)2010 TKA Alright, LLC/UGC PH All rights reserved.

kidsar1.jpg 【解説と感想】 医学の発達により、人工受精や代理出産が可能になった。それでも子を持てない人には、養子縁組や里親制度がある。
また恋愛や結婚にも、同性愛、近親愛、多夫多妻、事実婚、不倫等、国の文化や本人の意思によって様々な形がある。結果、生まれて来た子供はどうなるのかというと、日本では現実に法律の整備が追いついていない状況だ。
人間社会のルールを取り払うことは進歩なのか、ただ大昔に戻るだけのことなのか、…話がそれるので、この辺でやめておく。

本作に登場するのは、女性同士で結婚しているニック(アネット・ベニング)とジュールス(ジュリアン・ムーア)。彼女たちはそれぞれ人工授精し、一人ずつ子供を産んだ。時は過ぎ、18歳になった姉ジョニ(ミア・ワシコウスカ)と15歳の弟レイザー(ジョシュ・ハッチャーソン)は、自分たちの遺伝子上の父親を探し出し、会いに行く。

kidsar2.jpg かつて、ボランティア兼アルバイトとして彼女たちに精子提供をしたポール(マーク・ラファロ)としても、遺伝子の行方は気になるところ。身軽な独身ということもあり、娘や息子との交流は予想以上に楽しかった。急に家族というものに憧れを抱いてしまった彼は、そのまま恋人と結婚すれば良かったのに、いわゆるルール違反を犯してしまう。どんな違反だったのかは劇場でのお楽しみだが、情報提供の面も含め、これは男女の夫婦が精子・卵子を受けた場合にも起こりうる問題である。

本作で一番印象的だったのは、主に生活費を稼ぎ父親的存在である医師のニックが、ジュールスにはなるべく家に居て欲しいと思っていること、そして今まで専業主婦的母親であったジュールスが、もっと自分を認められる仕事に就きたいと願っていたということである。そして彼女たちは夫婦生活の面では倦怠期。二人がそれぞれ抱えている悩みは、一般的な夫婦と全く同じなのだ。

kidsar3.jpg つまり、同性愛カップルなら男女平等の進歩的感覚を持っているはずだという意識そのものが、もはや古いのだろう。同性愛者でもいろんな考えを持つ人がいるはずで、ちょっぴり亭主関白なニックを登場させることにより、かえって同性愛婚が特殊な形態ではないことをアピールしている。ジョニとレイザーの姉弟は、父親は存在しなくても、二人のママの愛情のおかげで素直な性格に育った。

この5人の登場人物が一つのテーブルで食事をするシーンは笑いを誘う、実に奇妙な光景だ。ポールは遅れてきた真の家族か、排除されるべき侵入者なのか…? こんな家庭が将来あなたのご近所さんになるかもしれない。新しい形の家族の普遍的な悩みを描く、お薦め作品だ。
(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


 
posted by 象のロケット at 11:19| Comment(2) | TrackBack(9) | 超お薦め映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
トラックバックありがとうございました。こちらもさせていただきます。今年の5本に入りそうな映画でした!
Posted by うえれい at 2011年05月01日 12:18
マーク・ラファロが妙な色気ありましたね。母性本能くすぐられそうな役柄w。ミア・ワシコウスカは『アリス・イン・ワンダーランド』よりも今作のほうが等身大みたいで良いかもw。
Posted by ブリ at 2011年05月10日 18:41
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