2011年01月28日

『冷たい熱帯魚』お薦め映画

★★★★★ 2010年製作 日 (146 min)

【監督】園子温
【出演者】吹越満、でんでん、黒沢あすか、神楽坂恵、梶原ひかり、渡辺哲
【あらすじ】小さな熱帯魚店を営む中年男・社本は、娘・美津子のスーパーでの万引きをきっかけに、巨大熱帯魚店のオーナー・村田という男と知り合う。 美津子も後妻の妙子も、愛想の良い村田夫妻に気を許すが、村田は社本には別の顔を見せる。 実は村田夫妻は殺人鬼。 社本は妻と娘を人質に取られたような形で、想像を絶する猟奇殺人事件に巻き込まれてゆく…。 サスペンス・スリラー。 R-18
『冷たい熱帯魚』象のロケット
『冷たい熱帯魚』作品を観た感想TB

画像(C)NIKKATSU All rights reserved.

nettai1.jpg 【解説と感想】映画を鑑賞した後には、(1)眠かった、眠くなかった。(2)テーマが軽い、重い。(3)疲れた、疲れなかった。(4)題材が明るい、暗い。(5) 映像が美しい、グロい、気持ち悪い(6)笑える、笑えない、(7)泣ける、泣けない、(8)緊張した、癒される…などと、様々な感想を持たれるだろう。どちらかが良くてどちらかが悪いとは一概には言えない。感想は人それぞれ。

本作は146分と長いにも関わらず、内容がハードな性質上、眠くはならなかったが、ため息が出るほど疲労困憊してしまった。1993年の埼玉県で起こった愛犬家殺人事件や他の猟奇殺人事件などを基にして生まれた物語だというだけに、凄惨なシーンもある。はっきり言って、気分よく映画館を後にできるような作品ではない。

nettai3.jpg 小さな熱帯魚店を営む中年男・社本(吹越満)の娘・美津子(梶原ひかり)と後妻・妙子(神楽坂恵)はうまくいっておらず、妙子と社本もそのせいでギクシャクしている。冒頭の投げ出すような「レンジでチン!」のシーンは強烈だ。食卓には家庭のすべてが現れる。既に家庭は崩壊しているのに、社本だけがそのことに気づかぬふりをしている。

巨大熱帯魚店のオーナー・村田(でんでん)は、一瞬のうちに社本一家のそんな状態に気づき、いいカモであることを見抜いてしまう。nettai4.jpg 妙に愛想良く近づいてくる人間には要注意。妻や娘のため、社本はからめ捕られるように村田の手下となり、猟奇殺人事件に巻き込まれてゆく。誰にも文句ひとつ言えない気の小さい性格は徐々に変貌してゆくが、それは社本が本来望んでいた自分の姿だったのかもしれない。

社本の娘も、後妻も、村田の妻(黒沢あすか)も、村田の店の従業員も、どの女性もそれぞれが年齢に応じて色っぽく、露出が大きい。妄想が膨らんでしまうかもしれないが、胸の谷間に惑わされず、ストーリーにきちんと乗って行って欲しい。

nettai5.jpg 流血凄まじい死体解体現場、徹底的に痛めつける言葉の暴力、エロさむきだし、登場人物の誰一人にも共感できない、誰への愛も感じない、救いも希望もない…。もうトンデモない話である。しかし、こんな作品を映画館で観たい! 

決して笑ってはいけない場所に笑いが潜んでいて、笑いにくいことこの上ない。誰も彼もが、死ぬ瞬間までもが、全て滑稽なのだ。この刺すような笑いの毒にとてつもなく惹かれ、「次の作品もまた観たい!」と思ってしまう。

もう鑑賞してから、かなりの時間が経ってしまったが、内臓にググッと来た感覚はいまだに忘れられない。何もかもがトコトンすごいのに笑えてしまう狂気の世界、お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


 
posted by 象のロケット at 20:54| Comment(0) | TrackBack(3) | 超お薦め映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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