『のだめカンタービレ 最終楽章 後編』お薦め映画

★★★★　2010年製作 日　 （123 min）
【監督】川村泰祐
【出演者】上野樹里、玉木宏、瑛太、竹中直人、水川あさみ、小出恵介、山田優
【あらすじ】離れ離れに暮らすことになった、のだめと千秋。　ピアノレッスンに励むのだめは、オクレール先生からコンクールの許可がなかなか下りず、焦りを感じていた。　そんな時、コンクールに出場する清良を応援するため、峰と真澄がパリにやって来る。　久々の再会だったが、のだめと千秋は微妙な関係に…。　2人の恋はついに『最終楽章（グランドフィナーレ）』へ…!!　人気TV音楽ラブコメディ劇場版。
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画像(C)2010フジテレビ・講談社・アミューズ・東宝・FNS27社 All rights reserved.

　【解説と感想】何でもキッチリ器用にこなす、プライド高き秀才型若手指揮者・千秋真一（玉木宏）と、生活のすべてがダメダメで、才能も未知数な天才型ピアノ学生“のだめ”こと野田恵（上野樹里）。正反対の2人が音楽的に成長していく青春ラブコメディー。

　ずっとのだめを見守り、彼女の才能を引き出してきた千秋。世話の焼けるのだめはカワイイが、指揮者としても大事な時期、「今は静かな環境で音楽の勉強に専念したい。」という本音が出てしまい、千秋はアパートを出ることになったのだが…。

スクリーンには、劇場版で初めてこのシリーズをご覧になる方にとっては意味不明な、のだめの妄想世界のキャラクターがところどころに登場する。笑って見過ごそう。
　コミックの原作を生かしてギャグ満載。世界的指揮者シュトレーゼマンを演じる、銀髪カツラをつけた竹中直人や、ターニャ（ベッキー）や真澄（小出恵介）など、個性的な“お友だち”が多く、表情も会話の間も大げさで劇画タッチだが、決してバカバカし過ぎないのが見事だ。

　最初にお断りがついていて、劇場版は舞台がヨーロッパなのに、字幕はなく、みんな普通に日本語を話している。これぞ「シャッターアイランド」を越える、“超日本語”吹替え版！

耳に残る馴染みやすい曲が選ばれていて、演奏の見せ方、聴かせ方も良い。千秋が分かりやすく曲目の解説をしてくれるので、クラシックに詳しくない方でも退屈しない。ＴＶ版が大ヒットしたのもうなずける、万人向けの大変親切な作品だ。

　シリーズ全体としての挿入曲数は膨大で、CDもたくさん出ている。私も最新版「のだめカンタービレ・コンプリートBEST100」を聴いた。4CD＋1DVDというかなりのボリューム。演奏シーンが眼に浮かぶ聴きなれたメロディは、当たり前だが原作コミックを読む時のBGMとしては最高。この作品をきっかけに、気軽にクラシックを聴く人が増えたことは間違いないだろう。

　さて、ギャグと音楽中心だった前編と、ラブストーリー重視の後編とでは、明らかに雰囲気が異なっている。それもそのはず監督が交代していたのだ。
後編は話が真面目な分、笑いが小粒だった。個人的には最後まで思いっきり笑わせて欲しかったので残念。

　しかし、楽しい物語にも終わりがある。いつまでも学生気分ではいられない。大人へと成長した2人にふさわしい締めくくりだった。
留学仲間や楽団員たちが悩みながらも切磋琢磨する様子や、優しく厳しい師弟関係などは、青春ドラマの永遠のテーマであり、誰もが共感できる。

　一人でひたすら“のだめワールド”に浸るもよし、カップルでも親子でも友人同士でも、老若男女どんな方にでもお薦めできる、爽やかな作品だ。

青春ドラマはとにかく数が多い。誰でも通る道なので、どこかに自分自身を重ね合わせてしまうし、登場人物の大小様々な夢や悩みにも共感できる。さて、あなたの青春はどの作品に近いだろうか。

今後公開される青春ドラマ

≪体育会系≫
『ソフトボーイ』…佐賀はよかとこ〜　カルチャー焼きが食べたか〜
『ローラーガールズ・ダイアリー』…怪我しても走れ！ 男なんか蹴飛ばせ！
『武士道シックスティーン』…かわゆくて強おぉーい女子高生、萌えます！
『ボックス！』…熱い友情、痛いパンチ、直球スポ根ドラマ。

≪文化系≫
『のだめカンタービレ』…ギャグと音楽がマル。
『書道ガールズ』…文科系もやる時はやる！ 書道だってチームワーク！
『おのぼり物語』…もうすぐ見ます。

≪アウトロー系≫
『プレシャス』…青春というより底辺社会の母子を徹底的に描く社会派。
『17歳の肖像』…恋した相手が悪かった！ 何事も勉強！
『ヒーローショー』…リンチが壮絶！ ジャルジャルの2人が◎。
『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』…抜け出し方がわからない、底辺の苛立ち！

この中で、私好みの青春の過ごし方は、『ボックス！』　『17歳の肖像』　『のだめカンタービレ』。
実際の私の青春とはだいぶ違いますが…。

（象のロケット 映画・ビデオ部　並木）

　
http://51863217.at.webry.info/201006/article_1.html