2015年10月31日

『ローマに消えた男』お薦め映画

★★★★ 2013年製作 仏・伊 (94 min)
【監督】ロベルト・アンドー
【出演者】トニ・セルヴィッロ(湖のほとりで、眠れる美女、グレート・ビューティー 追憶のローマ)
ヴァレリオ・マスタンドレア(天使が消えた街)
ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ(ふたりの5つの分かれ路、華麗なるアリバイ、嘘の心、私の男)
ミケーラ・チェスコン、アンナ・ボナイウート、エリック・グエン、アンドレア・レンツィ
【あらすじ】統一選挙が迫るイタリア。 最大野党を率いる書記長エンリコ・オリヴェーリは支持率低迷に悩み、突然ローマから失踪してしまった。 腹心の部下アンドレアはスキャンダルを揉み消すため、エンリコと瓜二つの双子の兄ジョヴァンニを替え玉に起用する。 ジョヴァンニは哲学の教授だが、精神治療施設を退院したばかり。 人が変わったような書記長の言動は、たちまちメディアの注目を集めることに…。 コメディ。
イタリア・アカデミー賞最優秀脚本賞・最優秀助演男優賞、他受賞

『ローマに消えた男』象のロケット
『ローマに消えた男』作品を観た感想TB

画像(C)Bibi Film(c)Rai Cinema All rights reserved.

roma1.jpg 【解説と感想】少し前に終了した深夜ドラマ「民王」を時々見ていた。父親である総理大臣(遠藤憲一)と大学生の息子(菅田将暉)の「異変によって中身だけが入れ替わってしまう」という話で、二人の演技に笑わせられた。

本作「ローマに消えた男」は、ありえない「異変」ではなく、「意図的に別人に成りすます」お話。主人公であるイタリアの大物政治家エンリコ・オリヴェーリ(トニ・セルヴィッロ)が失踪。困り果てた秘書アンドレア(ヴァレリオ・マスタンドレア)が、エンリコと瓜二つの双子の兄ジョヴァンニ(トニ・セルヴィッロ2役)を替え玉に起用するという、これまた楽しいストーリーである。

来月11月20日公開の『Re:LIFE リライフ』は、アカデミー賞脚本賞を受賞したものの、その後15年間も鳴かず飛ばずの脚本家キース(ヒュー・グラント)が、大学の講師を依頼される、「天職」とは何かを考えさせる作品だった。自分の天職が何なのかは、時として人生の終盤までわからないものだ

roma2.jpg 本作の場合、鬱状態の悩める政治家である“ローマから消えた男”エンリコは、一般人のフリをして憧れていた映画業界の裏方アルバイトをやり、ひとときのアバンチュールを楽しみ、心の平穏を噛み締める。一方、哲学の教授である“ローマに現れた男”ジョヴァンニは躁状態。政治家としてマスコミの質問を煙に巻き、爽やかな弁舌で選挙民を惹きつける。彼らはこのまま、新しい人生を歩んだ方が幸せなのではと思ってしまう。

何処の国も政治不信。選挙では、華麗な経歴や実現できるかどうかも分からない公約より、基本的な政治理念と、要はこの人に任せてみようかなという漠然とした信頼感つまりはカリスマ性が重視される。結果として政治がコケれば、それは騙された私たちが悪いのだ。ジョヴァンニの選挙演説は、全く以って具体的ではないのだが、ついつい拍手したくなる。特に笑顔がいい。

roma3.jpg ところで、家出中のエンリコが居候しているのは、フランス・パリで暮らす25年前に別れた元恋人ダニエル(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)の家。そこには彼女の夫や娘がいるというのに! 誰もエンリコに警戒心を抱かない大人の対応で、エンリコだけが困ったチャン。果たしてやけぼっくいに火はつくのか? そして気の毒なのは、替え玉スキャンダル露見を恐れる政治家秘書アンドレア。縁の下の力持ちに徹し、誠実に政治家を支える彼に、共感を覚える男性は多いのではなかろうか。

roma4.jpg 双子は間違われるのに慣れている。エンリコとジョヴァンニは幼い頃から、時々ワザと入れ替わって楽しんでいたらしい。果たして最後に政界に残る男は、兄と弟のどちらなのか? 彼らそれぞれの本当の天職とは? 爽やかで洗練された、ミステリアスな大人のコメディ。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


 
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2015年10月02日

『ヒトラー暗殺、13分の誤算』お薦め映画

★★★★ 2015年製作 独 (114 min)
【監督】オリヴァー・ヒルシュビーゲル(ヒトラー 最期の12日間、インベージョン、ダイアナ、es ≪エス≫)
【出演者】
クリスティアン・フリーデル(白いリボン)
カタリーナ・シュットラー(コーヒーをめぐる冒険)
ブルクハルト・クラウスナー(コッホ先生と僕らの革命、白いリボン、ベルリン,僕らの革命、ゲーテの恋 君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」
ヨハン・フォン・ビュロー、フェリックス・アイトナー、ダーヴィッド・ツィンマーシート、リュディガー・クリンク
【あらすじ】1939年11月8日、ドイツ・ミュンヘンのビアホールで恒例の記念演説を行っていたヒトラーは、いつもより早く話を切り上げて退席。 その13分後、ホールに仕掛けられていた時限爆弾が爆発する。 逮捕された36歳の男ゲオルク・エルザーは、外国のスパイではなく、田舎に住むただの家具職人だった。 なぜ彼は暗殺者となったのか…? 実話から生まれた物語。

『ヒトラー暗殺、13分の誤算』象のロケット
『ヒトラー暗殺、13分の誤算』作品を観た感想TB

画像(C)2015 LUCKY BIRD PICTURES GMBH, DELPHI MEDIEN GMBH, PHILIPP FILMPRODUCTION GMBH & CO.KG cBernd Schuller All rights reserved.

elser1.jpg 【解説と感想】「安全保障関連法」が怒号のなか成立した。 60年、70年安保の頃は知らないが、こんなに国民が政治に関心を持ったのは、1988年に「消費税法」が成立した時以来ではなかろうか。賛成でも反対でもいいから、国民特に若い世代が政治に関心を持つのは良いことだと思う。ただ、お祭り気分で騒いでいるだけ、時代の流れを見物に来ているだけのような人々もいたようだ。皆が同じ方向を向いている時は気分も高揚するし、そこにいるだけで何かをやり遂げたような達成感があるのだろう。

さて本作の主人公は、ナチス・ドイツの最高指導者アドルフ・ヒトラー(1889〜1945年)を暗殺しようとした男ゲオルク・エルザー(クリスティアン・フリーデル)。 彼はヒトラーを殺そうとしたが失敗し、その時に8名の無関係な人々を死亡させた殺人犯だ。

今日ではヒトラーは20世紀最大の嫌われ者であり、彼を暗殺しようとしたエルザーは、近年英雄視されつつあるらしい。だが暗殺当時はヒトラーの全盛期で、エルザーは極刑に値するテロリストだった。罪もない人々を8名も殺したのだから、今だって死刑のはずだが、その時めでたくヒトラーが殺されていれば、ひょっとしたら数百万とも言われるユダヤ人大量虐殺は防げたかもしれない。
ヒトラー暗殺は「ワルキューレ」事件など何度も起こったものの結局は未遂に終わり、神に選ばれし者のように生き延びたヒトラーは、不幸にも勢力を拡大してしまったのである。

elser2.jpg エルザーは単独犯だと供述している。今や真偽のほどは不明だが、ナチスの情報力をもってしても、彼の所属組織や共犯者を挙げることはできなかった。エルザーは小さな町の家具職人であり、政治家や軍人でも、ユダヤ人でも、レジスタンスや共産主義者でも、インテリの理想主義者でもなかった。それどころか犯行前は、若者らしく音楽やダンスに興じ、人妻エルザ(カタリーナ・シュットラー)に手を出したりする、たいした正義感も政治思想もなさそうな男だったのだ。ところが逮捕後、彼は見事な変貌を遂げる。拷問に耐え尋問に受け答えする様子は、「信念の人」にしか見えない。

elser3.jpg ヒトラーは最初から恐ろしい独裁者だったのではない。国民の支持を得たからこそ、首相にまで上り詰めることができた。エルザーがヒトラー暗殺を実行したのは1939年。ヒトラーの権威が失墜しついに敗れるのは1945年だから、彼は極めて早い段階で、ヒトラーが危険だと見抜いたことになる。ナチスの台頭によって暮らしが変わっていくのを何となくおかしいと肌で感じていたのが、エルザーたち一般市民だった様子が、本編中でも描かれている。世界は突然ではなく、少しずつ変わっていく。気づいたら変わっていた、という日が突然やって来るだけなのだ。

elser4.jpg いくら志が高くても、一人の力なんてたかが知れている。大きな力を持たないと何もやり遂げることができないとよく言われる。しかし例えば選挙を前に複数の政党が組む場合など、大義のためにかなり無理な妥協をしなくてはならないし、結局は細かい差異が衝突を招き、やがて崩壊してしまう。大勢で真っ直ぐ行進するのは大変だが、一人だと大きなことはできない代わりに、小回りが利く。

自分が小さな存在で何の力もないと自覚する人は、市井の人が自身の感覚に従って行動を起こしたこの事件を、忘れてはならないと思う。もちろん彼のような殺人行為は言語道断だが、世のため人のために、一人でもできることはたくさんある。誰とも組まずたった一人でヒトラー暗殺を行った、平凡な男の実像と犯行動機に迫る歴史ドラマ。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


 
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2015年08月24日

『クーデター』お薦め映画

★★★★ 2015年製作 米 (103 min)
【監督】ジョン・エリック・ドゥードル(デビル)
【出演者】
オーウェン・ウィルソン(ミッドナイト・イン・パリ、エネミー・ライン、ダージリン急行、マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと)
レイク・ベル(ミリオンダラー・アーム、ベガスの恋に勝つルール、恋するベーカリー 別れた夫と恋愛する場合、抱きたいカンケイ)
ピアース・ブロスナン(サバイバー、007/ダイ・アナザー・デイ、テイラー・オブ・パナマ、ダンテズ・ピーク)
スターリング・ジェリンズ、クレア・ギア
【あらすじ】東南アジア某国へのインフラ整備支援事業のため、妻と幼い娘2人を伴い赴任したジャック。 ところがクーデターが勃発し、平和な国は一変。 「外国人を殺す。 捕虜は取らない。 皆殺しだ!」との怒号が響き渡り、政府と外国人をターゲットとした殺戮が開始された。 多くの外国人が滞在していたホテルは、暴徒と化した国民に取り囲まれてしまう。 ジャックは何とか妻子を守ろうとするが…。 サスペンス・アクション。

『クーデター』象のロケット
『クーデター』作品を観た感想TB

画像(C)2015 Coup Pictures, LLC. All rights reserved.

noescape1.jpg 【解説と感想】夏休み、家族で海外旅行に行かれた方も多いことだろう。楽しい思い出づくりになる反面、飛行機事故や、テロ、無差別殺人、またはMERS(マーズ)ウイルスに感染したり、盗難や自然災害に遭ったりなど、旅に危険はつきものだ。

本作の舞台は、東南アジアの某国。アメリカ人ジャック(オーウェン・ウィルソン)は、妻(レイク・ベル)と幼い娘2人を連れ、水道関係の支援事業のため赴任してきた。ところが翌朝クーデターが勃発し、滞在中の外国人の皆殺しが始まる。ジャック一家が泊まっているホテルは外国人客が多いため、暴徒に囲まれてしまう。

noescape2.jpg まず怖いのは、来たばかりの外国人には何が起こったのかサッパリわからないこと。ホテルに英字新聞が届かないのでジャックは市場まで買いに行く。だが、新聞はどこにもなく、街の様子が何だかおかしいことだけが分かる。まだクーデター情報が各方面に伝わっていないためだ。現地の言葉が分からないジャックには、人々が血相を変えて叫んでいる内容も理解できない。英語を話せる人は多いはずだけれど、向こうは全外国人が敵だと思っている。扇動された殺人者たちは、文字通り「皆殺し!」を仕掛けてくる。

とにかく家族を守らなければならない。ジャックは元特殊部隊でもスパイでもなく、ごく普通の会社員。腕力では武器を持った暴徒に敵わないから、逃げるしかない。とはいえ、昨日到着したばかりで道も知らず、どこへ行けばいいのかも分からない。見つかれば即刻殺されてしまう。一家がまず考えたのは、アメリカ大使館を探すことだった。

noescape3.jpg 現地で出会った、妙に馴れ馴れしい胡散臭いアメリカ人男性(ピアース・ブロスナン)は、クーデターは自分たちのせいだと言わんばかり(後で007を思い起こさせるシーンあり)。世界を動かす大国アメリカへの皮肉が込められている。そう言われても支援事業とクーデターの関係を深く考えているヒマはなく、ジャックたちはとにかく逃げる。どこへ行っても襲われる。金髪の白人は目立ってしょうがない。幼い娘たちは可愛いが手がかかる。自分の命に代えても子どもたちを守らなければと、パパとママは通常なら考えられないほどの頑張りを見せてくれる。オーウェン・ウィルソン、本当に優しくてお人好しな普通の父親に見える。他の作品でもお人好しに見えるが、本当はそうじゃないのなら、名演技だ。果たして一家は助かるのだろうか?

雨あられのような銃弾の中、ひたすら隠れ、逃げ続ける。シンプルなストーリーだが、もし海外旅行や海外赴任中にこんなクーデターやテロが起こったらと考えると、ちょっと心配になってくる。殺害はされなくても拘束され、しばらく帰国できないかもしれない。私たちも遭遇する可能性はゼロではない絶体絶命のサバイバル・スリラー。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


 
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2015年06月25日

『ナイトクローラー』お薦め映画

★★★★★ 2014年製作 米 (118 min)
【監督】ダン・ギルロイ
【出演者】
ジェイク・ギレンホール(エンド・オブ・ウォッチ、プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂、ムーンライトマイル、ZODIAC)
レネ・ルッソ(身代金、ティン・カップ、トーマス・クラウン・アフェアー、ビッグ・トラブル)
リズ・アーメッド、ビル・パクストン
【あらすじ】学歴もコネもなく仕事にあぶれていた男ルーは、たまたま事故現場を通りかかる。 そこにいたのは「ナイトクローラー」と呼ばれる、報道スクープ専門の映像パパラッチだった。 早速ビデオカメラを手に入れたルーは、警察無線を傍受しながら事件や事故の発生を待ち、猛スピードで車を走らせて現場に駆け付ける。 過激な映像は高く売れたが、局の要求はさらにエスカレートしていく…。 サスペンス・スリラー。

『ナイトクローラー』象のロケット
『ナイトクローラー』作品を観た感想TB

画像(C)2013 BOLD FILMS PRODUCITONS, LLC. All rights reserved.

nightcrawler1.jpg 【解説と感想】真面目な報道がある一方で、マスコミの「フライング」や「ヤラセ」、「不自然な沈黙」、「情報操作」等への疑念も拭えない。先日、選挙権年齢が18歳に引き下げられることが決まった。報道を鵜呑みにしてはいけないと、小学生の頃から教えておくべきだろう。しかし、根拠のない噂話も、ニュースで取り上げられると信じてしまうのが人情。嘘と真実を見分けることは、大人であっても難しい。

nightcrawler3.jpg 本作の主人公ルイス(ジェイク・ギレンホール)は、芸能ネタではなく、事件・事故現場を撮影し、その映像をテレビ局に売って稼ぐフリーカメラマン(通称:報道パパラッチ“ナイトクローラー”)。まずはジェイク・ギレンホールの、ギスギスギラギラした容姿に驚かされた! 役作りのため12キロ減量し、昼夜逆転の生活を続けたのだという。失業中で食うや食わずの生活を送っていたルイスは、偶然遭遇したカメラマンの真似をして写真を撮り、テレビ局へ売り込みに行く。経験もツテもないのに、大した度胸である。

nightcrawler5.jpg 世の中には、ハッタリをかまし前へ前へ出て成功する人と、怖気づいて後ずさりし川へ落ちてしまう人がいる。明らかにルイスは前者で、私は後者だ。ルイスの見上げた根性はハングリー精神に裏打ちされている。盗みや不法侵入、ヤラセなんて朝飯前。罪悪感なんか感じない。生きるためには何だってやってやると腹をくくっている。不屈の闘志とサバイバル能力は買うが、決してお近づきにはなってはいけない。利用されて後悔するだけ…ああ、そんなふうに考えるから、私は川へ落ちてしまうのだ!

nightcrawler2.jpg ルイスの、テレビ局の女性ディレクター、ニーナ(レネ・ルッソ)への態度は図々しく、部下のリック(リズ・アーメッド)への態度は尊大。とんでもないパワハラ&セクハラ野郎である。たとえ成功したとしても、ずっと彼は一匹狼だろう。いや、それ以前に、逮捕されてしまうのではないか? とまあ、主人公のイヤな面ばかりが目についてしまうが、ストーリーは文句なしに面白い! 

警察の無線をキャッチして、深夜のロサンゼルスを走り回るナイトクローラーたちは、餌に群がるハイエナ。まるで報道パパラッチの密着ドキュメンタリーを見ているようだ。死者や怪我人に敬意を払うことなく、嬉々としてカメラを回すルイスの顔は、ホラー映画の殺人鬼よりイカれている。スマホで撮影し送信できる今は、誰でもがパパラッチになり得る時代。ひょっとして、私たちもこんな顔になっていやしないだろうか?

nightcrawler4.jpg テレビ局のアナウンサーはあらかじめ、過激なスクープ映像を見るか見ないかは“自己責任”だと警告してから映像を流す。興味本位でそれを見ている視聴者も、撮ったモン勝ち、放送したモン勝ちのパパラッチ世界を助長させていることになる。ここまで割り切らなければ、生き残れないのだろうか? いやいや、ルイスには必ず天罰が下るはず、彼の末路は哀れなものに違いないと、あなたは期待するかもしれない。彼がどうなるのかについては、ぜひ劇場でご確認を。テレビ業界の裏側を覗いているうちに、人間の本性を見せられているような気になってくるサスペンス・スリラー。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


 
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2015年06月02日

『海街diary』お薦め映画

★★★★★ 2015年製作 日 (126 min)
【監督】是枝裕和(誰も知らない、花よりもなほ、ワンダフルライフ、幻の光)
【出演者】
綾瀬はるか(おっぱいバレー、映画 ひみつのアッコちゃん、八重の桜 NHK大河ドラマ、万能鑑定士Q モナ・リザの瞳)
長澤まさみ(世界の中心で、愛をさけぶ、タッチ、そのときは彼によろしく、潔く柔く(きよくやわく))
夏帆(天然コケッコー、うた魂♪、きな子 見習い警察犬の物語、小さき勇者たち 〜ガメラ〜)
広瀬すず、大竹しのぶ、堤真一、加瀬亮
【あらすじ】鎌倉に住む三姉妹(長女・幸、次女・佳乃、三女・千佳)のもとに、父の訃報が届く。 15年前に父は家族を捨て、その後、彼女たちの母は再婚して家を去って行った。 父の葬儀で、三姉妹は腹違いの妹すずと出会う。 三姉妹の父を奪ったすずの母は既に他界しており、中学生のすずは、父の3度目の妻である義母と暮らしていた。 幸はすずに、鎌倉で一緒に暮らさないかと声をかける…。 ヒューマンドラマ。
原作:吉田秋生

『海街diary』象のロケット
『海街diary』作品を観た感想TB

画像(C)2015吉田秋生・小学館/フジテレビジョン 小学館 東宝 ギャガ

umimachi1.jpg 【解説と感想】「海街Dairy」は、鎌倉の古くて広い一軒家で暮らす四姉妹の物語。看護師の長女・幸(綾瀬はるか)、銀行員の次女・佳乃(長澤まさみ)、スポーツ店勤務の三女・千佳(夏帆)の父親は、15年前に女を作り家を出て行った。浮気相手はすずという娘を産んだが病死し、父は3回目の結婚をした後に病死した。それを機に、中学生の四女すず(広瀬すず)は、義母と暮らす家を出て、腹違いの姉3人と暮らすことになった。一方、三姉妹の母・都(大竹しのぶ)は、父が家を出た後すぐ、幼い娘たちを祖母に託し、再婚して家を出てしまっている。

他にも大叔母(樹木希林)、食堂店主(風吹ジュン)など、様々な年代の女性たちが登場する。彼女らと男性(堤真一、坂口健太郎、加瀬亮、池田貴史、鈴木亮平、前田旺志郎、リリー・フランキー)との関係はどれもアッサリしていて、大きなトラブルも、極悪人も登場しない。

上の三姉妹は、ずっと鎌倉で暮らしてきた。すずも東北の海辺の町で育った。彼女たちは大らかで、小さなことにこだわらない。ずっと同じ顔ぶれの地元の人たちとの関係も良好。観光地ではない美しい海辺の街・鎌倉の魅力があふれている。住んでみたいと感じる方も多いだろう。海を見るとホッとする、昭和のような暮らし方が懐かしい、街の風景で心が和む、心地よい映像だ。

umimachi2.jpg 女同士だから男の話も平気でするし、余計な口も出す。ぶつかりながらワイワイ楽しくやっている、みな、いい子たちだ。なぜいい子なのかというと、大人の勝手な都合によって環境が変わるという体験をしたからである。それでグレる子もいれば、逆にしっかりし過ぎてしまう子もいる。ちょっと年寄りくさいところがあるのも、ついつい相手を気遣ってしまうのも、そのせいだ。四姉妹は“大人の事情”を理解し、誰のことも恨んでいない。そして、自分たちの力で親不在の“家庭”をしっかり築き上げた。自分では、それが特別なことだと気付いてはいないだろう。

umimachi3.jpg 若い女性中心のホームドラマは新鮮だ。しっかり者の幸、男運の悪い佳乃、マイペースな千佳、サッカーが得意なすず、それぞれが魅力的で、彼女たちの姉妹ゲンカも、恋も、普通っぽいファッションも見ていて楽しい。特に、年の離れた腹違いの姉たちと暮らすことになった葛藤を全身で表現する、広瀬すずの演技が印象的だ。何よりカワイイ!

血縁は切っても切れないほど強いが、家族が同じ形態で暮らせる期間は短い。近い将来、誰かが家を出る日までしか、この女子寮のような暮らしは続かない。だが、姉妹の温かい関係は、きっとずっと続いていくだろう。若い女性の悩みや葛藤を描いた、爽やかな家族の物語。お薦め作品だ。

(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)


 
posted by 象のロケット at 11:19| Comment(1) | TrackBack(8) | 超お薦め映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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